彼女と悪夢編4話 ページ22
インタビューの流れから、突然Aさんも一緒の写真を撮りたいと言われ、彼女も参加することになった。
昂輝「大丈夫ですか?」
『…うん、昂輝のおかげで落ち着いたから』
学生っぽいコーデの衣装を身にまとった彼女は、俺が中学生の頃見た高校生の彼女そのものだった。…記憶と比べると少し大人っぽいが、高校生だと言われても誰も疑わないだろう
記者「どうですか、いまとなっては雪宮さんとの共演なんてツキプロじゃないとなかなか出来ないですよ」
昂輝「そうですね、すごく嬉しいですし…とても緊張します」
『嘘、してるように見えない』
昂輝「ふふ、頑張って隠してるんですよ」
カメラ「じゃあ撮るんでこっちお願いします!」
昂輝「はい!…さ、行きましょう」
『…うん』
こうして、Aさんと学生のカップルみたいな感じで撮ってもらい、その後少しだけ彼女のインタビューもやった。
記者「雪宮さんは、学生時代どうでした?やっぱりモテモテでした?」
昂輝「…」
『…私は、どちらかというと浮いてた方ですね』
昂輝「…!」
『出る杭は打たれる、ってやつでしょうか。目立っちゃってたから叩かれまくりました』
えへへ、と力無く笑うAさんを見て、涙が溢れそうになった。それをぐっとこらえて彼女を見ると、優しい瞳と目が合った。
『でもなんとか強くなりたくて。私の周りの子っていうのかな…みんな歳下だったから、私が強い子じゃないとって思って、悟られないようにしてたんです』
始さんも、ケンも、誰も知らない彼女だけの戦い。あのきらきらしたAさんに、そんな過去が…
『まぁ、たまにボロが出て失敗して、私が人を傷つけちゃったりもしたんですけどね』
おそらくそれは、リョウのことだろう。あいつはきっと、Aさんをよく観察していただろうから…だから、気付いたんだ
『でも、今は…私は、ちゃんと私です』
記者「と、言いますと?」
『ここにいる私が、全てです。演技でも、強がりでもなんでもない。私が、睦月Aであり、雪宮Aなんです。……あ、睦月Aは本名です、えへっ』
昂輝「…」
『Growthの皆と最初にあった頃…あの時はまだちょっと強がってました。でも、色々あって…私は、安心して私で居られてます。…居られてるよね?』
朝よりもよくなった顔色を見て、俺は強く頷いて返した。
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作者名:雪藤 | 作成日時:2019年11月1日 19時