一緒に《八重樫剣介》 ページ10
☆バレンタインネタです
『次は、チョコを型に流して…』
｢火傷しないようにな？｣
『わかってるもん。それもう10回目！』
ちょっと黙っててよ、とむすっとした顔を俺に向けるのは、可愛い可愛い俺のA。料理の腕は人並みってとこだけど…色々危なっかしい子だから目を離せない。
『よし、出来たっ！そしたら少し冷まして、冷蔵庫だね』
Growthの共有ルームの冷蔵庫では、コウが事前にAがチョコを入れる分の場所を確保してくれていた。コウ、ありがとう…！
｢さて、冷ますまでの少しの間…俺の相手して？｣
『剣介の相手？って…ん、っ…』
Aの目の前に移動して、グイッと腰を抱き寄せて唇を重ねる。何度か角度を変えてキスをしているうちに、彼女の吐息が零れ始めた。
『ん…っ、は……待っ、くる、し…』
｢…！ごめん、大丈夫？｣
『…はぁぁ……死んじゃうから、キスは1回！』
｢え…でも、1回ながーいキスするより、何回もやった方が息継ぎできんじゃない？｣
『それは剣介だけ！私はタイミングわからないもん！それに、ながーいのも死んじゃうから！！』
初めてキスした時、彼女は呼吸困難になって倒れたっけ。あれがトラウマなのかなぁ…俺も、その後のリョウの怒り方がトラウマだよ
『…冷めてきたから、冷蔵庫に入れます』
｢おう。落とさないようにね｣
『昂輝くんが十分すぎるスペースをくれたから、大丈夫。後でお礼言わなきゃ』
たくさんあるチョコは、きっとコウやリョウ、衛にもあげるのだろう。毎年のことだから全然いいけど…改めて考えると、ちょっと妬いちゃう
『…？剣介、どうしたの』
後ろから彼女を抱き締めると、彼女は不思議そうに俺の手に自分の手を重ねた。
｢可愛い…チョコが固まるまで、部屋行こっか｣
『え？う、うん……っわぁ！？』
ひょいっと彼女を抱き上げて、自分の部屋のベッドにゆっくりと降ろす。そして起き上がろうとする彼女を押さえつけて、彼女の上に跨った。
『…剣介、なにするの？』
｢そんな不安がらないでも大丈夫。ちょっと、自分のものだっていうのを確かめるだけだから｣
『自分のもの…？』
もの…というのは良くないか。｢やっぱり自分の女に訂正！｣と笑いかけると、Aは顔を赤くさせてそっぽを向いた。
『どっちでも、答えは一緒…だと思う』
どんどん声が小さくなっていったAだけど、ちゃんと聞こえたから…嬉しかった。
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作者名：雪藤 | 作成日時：2019年10月25日 19時
