続き ページ9
『リョウ、くん…？』
｢…そんな可愛い顔で俺のこと見上げちゃって…鬼に食べられちゃっても知らないよ？｣
『そんなっ…んん…』
鬼(仮)のリョウくんが、優しい手つきで私の頬や顎、首を撫でてくる。怖いのに、リョウくんの温かくて肌触りのいい指がなんだか気持ちいい。
｢撫でられただけなのに、嬉しそうだね。…悪い子、鬼に食べられちゃうよ｣
『ん…ひ、ゃ…』
｢抵抗しないの？悪い鬼を追い出さない悪いAには、お仕置きが必要かな？｣
『お仕置き…？なん、で？』
｢なんで？豆まきに来たんでしょ？｣
くるっと私の身体を180度回転させたリョウくんは、私の両手を壁につかせてその上に抱き着くような形で覆いかぶさってきた。
｢豆まきに来たのに、鬼を追い出さない…それっておかしくない？｣
『だっ…て、それは、リョウくんが鬼だから…っひゃあ！？』
｢ん…？耳、弱い？｣
『耳元で喋らないで…！』
｢なんで指図されなきゃいけないの？俺は鬼だよ、Aちゃん？｣
いつもより低い声と、生ぬるい吐息が私の耳をくすぐる。それだけでも結構耐えるのきついのに…リョウくん、私の身体をぺたぺた触ってる…
｢…今びくってした？ここも弱いのかな｣
『〜っ、やめっ、ごめんなさ…』
｢どうして謝るの？｣
『だって…リョウくん、お仕置きって…』
｢…そうだね、お仕置き。でも、謝ってもやめてあげないよ？｣
『なん…っ』
なんで、と言おうと振り返ると、リョウくんの唇が私の唇に重ねられた。
｢せっかく襲う…じゃなかった、触る口実が出来たからね。満足するまでやらせてね？｣
『り、理不尽…』
｢ふふっ、俺は鬼だから。泣いて嫌がってもやめてあげない。…でも｣
くるり、とまた彼は私の身体を180度回転させ、リョウくんと向かい合う形になる。すると、彼はふわりと優しい笑顔を見せた。
｢でも、その代わり…たくさん福も運んであげる。心も身体も、幸せで満たしてあげるからね｣
『…！』
一瞬だけ、天使の翼が見えた気がしたけど…気付いたら私はベッドの上に押し倒されていて、その上には獣みたいな瞳のリョウくんがいた。
｢さて、まずは…Aの甘い判断力を後悔させないとね？知らない鬼に襲われちゃうから｣
『ひっ』
｢ふふっ、さぁ…今夜は帰さないよ？｣
『り、リョウくんの、鬼ー！』
リョウくんの甘く激しい攻めに、節分が軽くトラウマになったのでした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪藤 | 作成日時：2019年10月25日 19時
