ただ、あなたの為に《桜庭涼太》 ページ39
☆知識ゼロですが斬心ネタです。
刀を握り、目の前の敵を斬り伏せる。何も考えなくていい、やることはただひとつ。
「はぁ……一応、片付いたかな」
『…涼太』
「…!A、どうしてここに?危ないから安全なところにいるようにってあれほど言ったのに」
『大丈夫だよ、さっきまで剣介と一緒にいたの。それに、一応私だって戦える』
こう見えても強いんだよ、と笑う彼女…Aには、戦場も刀も似合わない。本当は俺より階級が高いけれど、大切な彼女に傷ついてほしくなくて、戦場に出したくなくて…
『痛いでしょう、涼太。もういいよ、無理しないで』
「……なんのこと」
『私をここに来させないようにって…無理してる。このままじゃ、涼太の心が疲れちゃう』
「…。…大丈夫、Aが笑顔で居てくれるなら…」
『!りょう…』
「…お前さえ無事なら、お前を守れるなら。俺は喜んで戦うよ」
背後から襲ってきたそれを斬り捨て、刀を鞘に戻して彼女に向き直る。明らかに心配している表情…心を見る技術がなくとも、彼女の考えていることなんてすぐにわかった。
「そんな顔しないで。俺は…」
『わかってる…けど…心配で…!このままじゃ涼太が、涼太が…壊れちゃうよ…』
「…Aがいなくなったら…それこそ、壊れちゃうだろ…」
自分より下のやつを庇って怪我をして、怒り狂った俺がそいつを殴り飛ばしたのは記憶に新しい。ケンがなんとかしてくれたけど…あぁ、思い出すだけで苛立ちで目眩がする
「俺の心の支えを、俺から奪わないで。Aが笑顔で迎えてくれるなら…俺は、耐えられるから」
『…涼太』
「だからお願い、安全なところにいて。…ね?」
『でも…っん』
「ん…俺なら大丈夫。強いから」
『…うん』
渋々頷いてくれたAに噛み付くように口付ける。本当は帰ってからやりたかったけど…我慢出来ないくらい彼女を欲してた
『ん…』
「…止まらなくなりそうだから、早く本部に戻って」
『早く、帰ってきてね』
「…必ず戻るよ」
「…はぁ」
「今日も張り切ってんな。…いや、張り詰めてる、か?」
「それで、Aが戦場に出なくて済むのなら…いくらでも斬るよ」
「そっか。…んじゃ、早く終わらせて癒してもらえよ、リョウ」
「ケン、うるさい。…けど、その通りだね」
早く終わらせて、Aの所に帰ろう。
その為に…全部、斬ればいいんだよ
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作者名:雪藤 | 作成日時:2019年10月25日 19時