検索窓
今日:18 hit、昨日:0 hit、合計:18,276 hit

続き ページ36

「…い、おーい、A…?」

『…ん…?』

少しだけ目を閉じたつもりだったけど、ぐっすり眠っていたみたい。ゆっくり目を開くと縁側から家の中に移動していて、座布団を枕代わりにして横になっていた

「やっと起きたか、俺よりぐっすり寝てんじゃん」

『………誰』

「え。俺だよ、ケンだよ」

耳と尻尾がない普通の人間の姿のケンが、私の上に覆いかぶさっている。起き上がりたいのにケンがいるから起き上がれない

『…もふもふじゃなくなっちゃった…』

「悪かったな、もふもふじゃなくて」

『それより、もう起きたから…どいてくれる?』

「んー…どーしよっかなぁ」

『…?どうして悩むの?座った方が楽でしょう?』

「そりゃ悩むよ!こんなにアピールしてるのに…Aは全然気付いてくれないし…」

『?』

「ほんとは独り占めしたいのに…A、動物達にすごい好かれてるし…」

『??』

「そもそも、俺の事なんだと思ってる?」

『…?……ケンは犬神様でしょ?可愛いわんちゃんみたいなところあるけど』

「……男として、見られてない…」

『どうしたの…?』

「こ、この状況どう思う?ドキドキしたり…」

『起き上がりたいから、早くどいてもらえるとありがたい…かな?』

「ぐっ…ドキドキしてもらえてない!」

『ケン?落ち着こう?』

私に覆いかぶさったまま落ち込むケンの頭を撫でると、ケンはそのままぎゅっと私に抱きついてきた

「…好き、なんだよ。Aを、ひとりの女性として」

『…え』

「ずっと、好きで…だから、いつも撫でてほしいって言ってお前に会いに行ってた」

『そう…だったんだ…』

「…でも、今のままじゃダメだ。俺も男だってこと…ちゃんとAに分かってもらいたい!」

『え?いや、そのくらい…』

「わかってない!…ん…」

『…!?や、くすぐったい…』

頬に口付けたケンが、首筋をぺろっと舐めて甘噛みをしてきた。逃げたくても、両手をしっかりケンに押さえつけられている

「もう…可愛いわんちゃんとは言わせない」

『っ…』

「忘れないで。俺は…お前を、Aを狙ってる狼だってこと」

『…』

初めて見たケンの獣みたいな目は…ものすごく怖い。けど…

『大好きなケンになら…食べられてもいい』

「…っ……ずるい…、ん…」

噛み付くような口付けをしてくるケンだけど、耳まで真っ赤なところはやっぱり可愛い。


…一体どっちが、本当のケンなんだろう

逆らえないんです。《衛藤昂輝》→←彼は犬か、狼か《八重樫剣介》



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
47人がお気に入り
設定タグ:ALIVE , Growth , ツキプロ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雪藤 | 作成日時:2019年10月25日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。