癒しのための短編集3《Growth》 (ページ20)

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取り戻す《桜庭涼太》ページ20

☆GrowthとZIXがピリピリ(？)してます。

俺が前の事務所にいた時、俺のマネージャーだった女性。なぜか分からないが、彼女が俺の目の前にいる。

『あ…涼太くん』

涼太｢…お久しぶり、です｣

とある歌番組の撮影の為、俺達Growthはここに来ている。スタジオの中は関係者以外は入れない。つまり関係者？ということは、誰かのマネージャー…？そこまで考えたところで、俺の思考は誰かの声に遮られた。

満｢マネージャー？勝手にいなくならないでよー！｣

涼太｢…げ｣

『…！ご、ごめんね？ちょっと、その…』

満｢ちょっと何？…って、げっ｣

涼太｢…｣

…マネージャー…マネージャーって、Aさんのことだよな。なんで、彼女が…

涼太｢Aさん…どうして｣

満｢…マネージャー。そんなに前の男が忘れられない？｣

『あ…その…違くて』

どうして彼女が、ZIXのマネージャーに？勢いで問い詰めそうになるのをぐっと堪えながら、あたふたする彼女をじっと見つめる。しばらく続いたその状況を変えたのは、聞き慣れた優しい声だった。

昂輝｢Aさん？Aさん、お久しぶりです｣

『…！昂輝くん…久しぶり』

剣介｢あ、Aさんだ！お久しぶりです！｣

『剣介くんも！大きくなったね』

相当気まずかったのだろう、コウとケンの方に駆け寄っていったAさんは、ケンに助けを求めていた。

剣介｢あー…巻き込まれたんですね？ちなみにAさんて、ZIXのマネがなんかですか？｣

『そ、そう…です』

昂輝｢…そうなんですね。すみません、気まずいですよね｣

『そ、そんなこと…私は、皆がそれぞれの道をちゃんと歩めていれば、それでいいんですよ』

あの時と同じ、ふんわりとした笑顔。誰に対しても優しい彼女だから…きっと、俺がZIXとピリピリしてるのを見たら、悲しむんだろうな

剣介｢それで？優しいAさんを困らせてるのはどっちだ？｣

満涼｢ぅ…｣

昂輝｢俺としても、仲良くしたいんだが…｣

『…』

コウとAさんが少し寂しそうな顔をして、沈黙が訪れる。するといきなり引っ張られたのか、彼女の身体が大きく傾いた。

『！』

誠｢…何してんだ｣

昂輝｢誠…｣

誠｢言っておくが、こいつはもう俺達のマネージャーだ。だから手を出すな。…行くぞ｣

『あ…涼太くん…』

満｢だって。行こ？Aちゃん｣

『…はい』

そして、彼女は遠さがって行った。