癒しのお部屋。涼太Ver. ページ18
｢疲れた。俺を癒して｣
『…えっ』
ごろん、と私の膝の上に頭を乗せて｢なにか文句でも？｣と言いたげに私を見上げるリョウくん。癒してほしいのは私なんだけど…さすがに言えない。
｢…早く癒してよ。なんかやって｣
『え、えっと…』
｢はーやーくー｣
『は、はいっ…すみません』
何をしたらいいかわからず、とりあえず膝の上にあるリョウくんの頭をそっと撫でる。これでいいのかな
｢ん…それいい。もっと撫でて｣
『は、い…』
膝にかかる慣れない重みのせいで脚に力が入る。ぎゅっと脚を閉じていると、リョウくんがごろんと寝返りをうった。
『…っ！？』
｢力抜きなよ。疲れちゃうだろ｣
『でも…その、頭が…』
｢…もう、仕方ないな｣
ふう、と小さくため息をついて身体を起こすリョウくん。何をするんだろうと見ていると、彼は私の横にぴったりくっつくように座り、肩に頭を乗せてきた。
｢…首が折れるかもしれない｣
『…リョウくん…何がしたいの…？』
｢なにって…癒されたい｣
『私に癒しを求めるのは間違ってると思うな…昂輝くんとかに頼みなよ』
｢どうして？俺がAに癒されたいと思うのはいけないこと？｣
『そうじゃなくて…』
｢そうじゃないなら、俺を癒して。…癒してくれたら、その恩を倍にして返すから｣
腰をぐいっと抱き寄せて顔を近づけるリョウくんは、不敵に笑って…そのまま顔を近づけて来た。
『…！』
｢…｣
『…』
｢…｣
驚いて目を閉じたけど、そこから何も起こらない。おそるおそる目を開くと…一瞬、意地悪な笑みを浮かべるリョウくんが見えた。
『…っ、んん…！？』
｢…ん…、っは…かわいい｣
『な…なん…っ…』
キスすると見せかけて、しないで…キス、した？私、遊ばれてる？
｢ふふ、今ので癒された。だから…俺がこの倍の癒しを提供してあげる。そしたらAはそのさらに倍の癒しをちょうだい？｣
『え…無茶ぶり』
｢返事ははい、だよ？A｣
『は、はい…』
｢うん、いい子｣
えらいね、と優しい笑顔で撫でてくれるリョウくんに自然と笑みがこぼれる。いつの間にか優しい空間が出来上がっていた。
｢Aの笑顔が1番の癒しだな…好きだよ｣
『…！わ、私も…リョウくんの笑顔が好き』
｢ほんと？ありがとう｣
『ふふ。…次は、私がリョウくんを撫でていい？』
｢…！うん｣
撫でられてるリョウくん、猫みたいで可愛かった…
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作者名：雪藤 | 作成日時：2019年10月25日 19時
