癒しのための短編集3《Growth》 (ページ15)

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しばらくは勘違いをした姉さんが度々衛に喧嘩をふっかけていたが…なぜか今はこうなっている。

『…衛、私のこと好きじゃないの？』

衛｢そ、そりゃあ好きだよ！？でもさ、コウくんの目の前だよ？だめだよ｣

『いいわよ。昂輝は気にしないもの。ね』

昂輝｢…俺は部屋に戻るよ｣

衛｢コウくんお願い、見捨てないで！｣

『衛…私よりコウをとるのね』

衛｢違う、100％勘違い！！｣

『…じゃあ、キス…して？』

衛｢っ…！？そ、そんな可愛い顔で…｣

昂輝｢…衛、姉さんのこと、頼んだ｣

衛｢えっ｣

恋愛禁止ではあるが、姉さんの方が『50前には許されるでしょ』とか言って…今はたまに会って、お互いゆっくり距離を縮めているところだろう。…姉さんが取られたのは少し妬けるが…彼女が楽しそうだから、俺は応援したい。

『…衛、こうして会えるの3ヶ月ぶりだよ？キスくらいしてよ』

衛｢う…でも｣

昂輝｢…頑張れ、2人とも｣

意外な組み合わせだったが…応援してるよ。

衛side

｢頑張れ｣と穏やかな笑顔を残して、コウくんを部屋をあとにした。つまり、俺はAさんと2人きりになってしまったのだ。

『…で、キスもしてくれないの？』

｢あう…だって、こんなんでいいの？｣

『…？お互い恋愛禁止の身よ。数ヶ月に1度、ゆっくり会えるか会えないかだし…いいじゃない』

｢…｣

『それに…本気だよ。私は、衛が好き。……衛、嫌ならまだ間に合う。嫌いって言って』

｢……そんなこと…言えるわけないじゃん｣

俺は、君に一目惚れしたんだから。叶わないとわかっていても、諦められなくて…そしたら、Aの方から告白してくれた。

｢愛してるよ。君のこと大好きなんだ…A｣

『…！衛…』

｢結婚はまだまだ先になりそうだから…その時まで、いや、その先も…俺だけを見ててくれるとありがたいんだけど｣

『…当たり前じゃないの、でも、目を逸らされたくなかったら…たまには貴方から…っん』

｢…ん、っ……ちゅ｣

『…！』

｢…なに？君の望み通り、俺の方からキスしただけだよ？｣

そんな可愛い顔で見上げられたら…困っちゃうな。

｢結婚までお預け、とか言わないでね｣

そう言って、彼女をひょいっと持ち上げる。そして、自分のベッドへと向かった。

『…へ？待って、私明日から…』

｢大丈夫大丈夫、優しくするからね｣

自分でも思う。まさかこんな関係になるなんて…と。