なおしたい《桜庭涼太》 ページ9
俺の彼女の一人称は｢俺｣だ。
別に男の子みたいな性格をしているわけじゃない、見た目もけっこう可愛らしい。かわいい物が好きだし、結論をいうとちゃんとした女の子だ。なのに…
｢どうして俺って言うかなぁ…？｣
『仕方ないじゃん…私って言えなくて…』
彼女はけっこう繊細だ。コウも繊細だけど、彼女…Aはさらに上をゆく。聞けば小学生のころ男子にからかわれて、そこから既に私と言えなくなってしまったんだとか。
｢繊細にも程があるでしょ…私って言って？｣
『いや、無理。俺はね…あ、んー…うちは…』
｢言い直すなら私って言ってよ｣
『う…無理、恥ずかしい…』
いったい小学生の頃なんてからかわれたんだ。そのからかった奴らを探し出して痛い目見せてやろうか、なんてぶつぶつ呟いていたらAが不安そうにこちらを見上げてきた。
｢……？なに、かわいい顔で見て｣
『かわっ…！？な、何言って…』
｢動揺しすぎ、かわいい女の子が私って言うのはなんにもおかしくないんだよー？｣
そう言ってAの頭を撫でた。彼女は撫でられるのが好きで、撫でると嬉しそうに笑ってくれる。
やっぱりかわいい。…あ、そうだ。
｢A、俺とゲームしよっか？｣
『ゲーム？どんな？』
｢Aが自分のこと私以外で呼んだらキス｣
『…！？な、そんなん俺は、んんっ！？』
さっそく俺と言った彼女の唇を奪う。これは簡単にはなおらなそうだなぁ…。
｢…ん、これはずっと継続ね？ご飯の時も、コウ達の前でもやるから。｣
『は！？だから、俺はやるとは、んぅ…』
｢ん、ちゅっ…なに？キスされたいの？｣
『ち、違うの！これはもう癖だから…』
｢癖になっちゃったからこそ、なおしたいんだよ。｣
楽しそうに笑って見せると、彼女は嫌そうな顔をした。ほんとにわかりやすくて面白い。
『なんでこんな…俺は、あっ…ん！？』
｢んっ…ふふっ、残念。遅かったね｣
『会話が進まない…』
｢進めたいなら私って言えばいいんだよ？大丈夫、俺もコウも、ケンも衛も、馬鹿にしたりしないよ｣
したら誰であっても締め上げるから、と笑ったら彼女は全力で俺から距離を取った。面白がって壁際まで追い詰めて逃げられないようにして、私って言わせようと試みる。
『……いやだ、言わないから』
簡単なはずなのに、言ってくれない。
俺は絶対に、彼女のそれをなおしたい。
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雪藤(プロフ) - あいりさん» コメントと応援ありがとうございます！まだまだ初心者ですが、これからも頑張ります！(*´∀｀*) (2019年2月14日 17時) (
レス) id: e3a335fc77 (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - コメント失礼します！ とってもいい作品でした！これからも応援してます！ (2019年2月14日 16時) (レス) id: 6a2f1ef967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪藤 | 作成日時：2019年2月12日 23時
