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続き ページ28

静かに立ち上がって部屋を出ようとした俺を、Aは泣きながら腰に抱きついて止めてきた。

『やだ、行かないでっ!お願い、一緒にいて!!』

「……っ、でも、このままじゃいつか本当に取り返しのつかないことになるよ!?」

『それでも…、それでも…行かないで…』

なぜこの子は、そんなに嫌がるのか。後から知ったとしても、自分が引き受けてしまったからなのか?……冗談じゃない。

「…A、俺はね、いつもドラマを見るたびにおかしくなりそうなんだよ。いつも俺以外の誰かに触られて、無防備な姿を見せて…」

じりじりと彼女を追い詰める。精神的に参っている彼女にやることじゃないけど、今は許してほしい。

「相手役を見る度に、苦しくて…なんで俺のAに気安く触るんだろうって…」

Aの両手首を片手で掴んで壁に押さえ付け、空いた手で彼女の頬を撫でた。俺は今、どんな顔をしているんだろう

『……りょう…た…?』

「ごめんね、A。今こんな事したら、お前を苦しめることになるかもしれない…、でも、俺はこうせずにはいられないんだ…」

怯える彼女の頭をそっと撫でた。彼女が怯えるだけで抵抗しないのは、受け入れてくれてるのか。それとも…さんざん怖い目にあったからか。

『…っ、いい、よ…涼太なら…、涼太になら、どこ触られても怖くない…』

震えた声で俺を見上げるAに、ドキリとした。彼女の目は期待と恐怖が入り混じっているように見えた。

「……いいの?嫌なら、逃げていいんだよ?」

『うんっ…大丈夫…、むしろ…全部忘れさせて?』

涙目の上目遣いでおねだりする彼女を見て、ついに我慢がきかなくなってしまった。ドラマの記憶とさっきの話をもとに、他の男が手を出したところに舌を這わせてゆく。

『……!?ふぇ…ん…りょ…う…』

「くすぐったいかもだけど、我慢して?消毒だよ」

俺の知る限り、頬、首筋、胸、腹、腰…それから太腿…内腿、足……ん、待ってほぼ全部じゃない?

「……わかった、全身くまなく愛してあげるね」

『なにがわかっ…んっ…やっ…』

触られてくすぐったいのか彼女は身をよじって逃げようとする。でも逃がしてあげない。

「Aがその仕事を続ける限り、俺が何度でもやってあげるね?」

きっと彼女は、まだこの先も触られるのだろう。俺やコウの悩みもそのままだ。…ならば、それ以上に俺が彼女を愛そう。嫌なこと全て忘れるくらい、彼女に愛情を注ぎ込もう。

離さない《衛藤昂輝》→←悩み《桜庭涼太》



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雪藤(プロフ) - あいりさん» コメントと応援ありがとうございます!まだまだ初心者ですが、これからも頑張ります!(*´∀`*) (2019年2月14日 17時) (レス) id: e3a335fc77 (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - コメント失礼します! とってもいい作品でした!これからも応援してます! (2019年2月14日 16時) (レス) id: 6a2f1ef967 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪藤 | 作成日時:2019年2月12日 23時

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