太陽みたい《衛藤昂輝》 ページ22
☆名字は雪野(ゆきの)で固定させていただきます。
彼女…Aはとてつもなく目が悪い。遠くのものが見えない近視で、それが悪化して、俺には想像出来ないくらい、周りが見えないらしい。
俺がAの目の悪さを思い知ったのは高校生の時。珍しく眼鏡を外している彼女を見た時だ。
｢…雪野？｣
廊下で静かに立っている彼女を見つけて、思わず声をかけた。俺の声に反応したAがこちらを見上げたときのことは多分ずっと忘れないと思う。
『……衛藤くん？衛藤くんだよね？…助けて』
｢え…どうしたんだ？｣
『実は…教室がどこだかわからないの』
｢……は？｣
若干涙目で俺に助けを求める彼女は、目が悪すぎて教室すら見えなかったのだ。
｢雪野お前…眼鏡は？｣
『どっか行っちゃって…でも、さっき先生に呼ばれたからこのまま職員室行って、教室帰ろうと思ったらどれが私のクラスかわからなくて…』
泣きそうな顔で見上げてくる彼女にドキッとした。眼鏡をかけている時より目も大きいし…
｢…かわいい｣
『…？？』
思えばあれが始まりだった。あの時、俺は一目惚れしたんだと思う。
｢…寝ている、のか？｣
俺の肩にもたれかかって眠る彼女をそっと撫でて、眼鏡を外してやった。前にコンタクトを試そうとしたが、逃げられてしまった。彼女の眼鏡はレンズがすごく分厚くて、ちょっと覗いたら酔いそうになった。なぜ、これをかけていられるのだろうか。
『……ん、コウくん…？』
｢あぁ、起きたか。おはよう？｣
寝起きのAの頭を撫でてやると嬉しそうに笑ってくれた。すると彼女はいきなり顔を近付けてきて、お互いの距離は10cmくらいになった。
｢ど、どうした…？｣
『…コウくんの顔が見たかっただけ』
10cmくらい近づかないとピントが合わないらしい。眼鏡を外すと自然と大胆になるから、ついつい俺は眼鏡を取り上げてしまうんだ。
｢相変わらず見えないんだな。あぁ、そういえば…あの時、クラスに戻れなかった時、どうしてあれが俺だってわかったんだ？｣
数年越しの疑問を彼女にぶつけてみる。すると彼女は考える素振りを見せてから、へらっと笑った。
『コウくんがキラキラしてたから？』
｢ふふっ、なんだそれ｣
『コウくんが太陽みたいにキラキラしてたから、きっと見えない私でもわかったんだよ』
そう言ってAは優しく笑った。嬉しくて、照れくさくて、俺はそのまま彼女に口付けをした。
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雪藤(プロフ) - あいりさん» コメントと応援ありがとうございます！まだまだ初心者ですが、これからも頑張ります！(*´∀｀*) (2019年2月14日 17時) (
レス) id: e3a335fc77 (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - コメント失礼します！ とってもいい作品でした！これからも応援してます！ (2019年2月14日 16時) (レス) id: 6a2f1ef967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪藤 | 作成日時：2019年2月12日 23時
