Best Answer

夕方の職員室で ページ42

夕方の幼稚園。
園児が帰った後の職員室で作業中の私。


「さて、そろそろ帰ろっかなー。

A先生もあまり無理せず帰りなよ〜」
と言って帰っていく年少クラスのおばちゃん先生。

「はーい、お疲れ様です」
と言いながら、画用紙をチョキチョキ。
「お先ー」と、また1人帰っていく。

チョキチョキチョキチョキ…

お誕生日会で使う園児のメダル。



チョキチョキチョキチョキ…

「お疲れ様でーす」
1人、また1人と先生達が帰っていく。


カタカタとパソコンを触ってるジヨン先生はまだキーボードの音を鳴らしている。
気がつくと、職員室に2人だけになってしまった。


今だ！
私はすかさず自分のロッカーへ行き、カバンから封筒を掴みジヨン先生の側に立った。

ジヨン先生は、えっ？という顔をしてこちらを見た。
私はキョロキョロと周りに誰も居ないのを確認すると、
「あの、タクシー代のおつりです！ありがとうございました！」
と、素早く封筒を渡した。

えっ、という顔をして驚くジヨン先生。
でもすぐに優しい顔で
「お釣りを渡されたのは初めてかも」
と、笑った。
「あ…」
少し恥ずかしくなってうつむいた。



ーーーー
恥ずかしそうに少しうつむくA先生。
そんな、A先生を可愛いと思った。
ーーーーーーーー



少しの間沈黙が続いた後、「あっ」とジヨン先生が何かを思い出した様に喋り出す。
「ユキさん、だっけ？お友達の。
よっぽど良い彼氏がいるんだろうね。
A先生は会ったことあるの？」

「えっ？」
何を言い出すんだろうとちょっとびっくりした。

「い、いやぁ〜、会ったことは無いですよ、何故ですか？」
しらばっくれながらそれとなく聞き返す。

「いや、スンリってああ見えて事業家で話も面白いしモテるんだよ。
彼氏のいる女の子でも彼氏と別れて付き合いたいって子、たくさん見てきたんだ。
なのに、ユキさんはスンリのアピールにもブレなかったから」

「そ、そうですね」
すかさずジヨン先生が、
「A先生は？スンリの事どう思った？？」
「私ですか？」

答えを待つジヨン先生。
そ、そんなに見つめられても…

「すいません！
失礼かもしれませんが、私何も思わなかったです…」

申し訳なさそうにすると、
「いや！いいんだ。そっちのが良かった」
と言い、また「良かった良かった」と言いながら席を立つジヨン先生。

私と向かい合い、
「あの、今度良かったら2人で…」

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