Best Answer

神様 ページ5

「A先生はとても良い先生です。子供達からも信頼がありますし、保護者の方々とも仲良くされています。
今年で3年目ですが、大きな失敗は１つもせずにやってくれています。

しかし…」

職員室はすっかりジヨン先生の雰囲気に包まれる。
何だろう。このジヨン先生の安心感…


「それが逆に失敗を招いたのかも知れません。

何事も失敗無くしては上達はしません。
そうですよね、お母様？」


「あ...は、はい...」
ジヨン先生に見つめられて、顔を赤くする保護者。


「失敗して人は大きくなると思うんです、お母様。
だから、これからはきっと、もっと頼れるA先生になってくれると僕は思うんです。
A先生を信じてついてきてくれませんか？」

ジヨン先生にまた一歩歩み寄られて、トロける保護者。

「え、ええ、そうですわね。
何も悪気があってこうなったんじゃないですし...」


「ありがとうございます。
怪我の経過は慎重に見ていこうと思っています。
お母様も、また何かあればお話下さい。
この度は、本当にご迷惑をおかけしました」

と、ジヨン先生はまた深々と頭を下げる。


そんな感じで、あれよあれよと言う間に話は丸く収まり、
保護者の気分も損ねる事なく事は済んだのだった。




「ジヨン先生！ありがとうございました！！」

「ゴホン！！」
園長先生がわざとらしい咳払いをする。


「あ、園長先生もありがとうございます！！
この度はご迷惑をおかけしてすいませんでした！！」



私は頭を下げ、お礼を言う。

ジヨン先生が優しい笑顔で、
「A先生の初めての失敗、ですね。僕も昔は失敗だらけでした。
園長先生もですか？」


突然ふられて直ぐに言葉が出ない園長先生。

「ま、まぁ」


「失敗して先生になるんですよ。元気を出して」そう言って微笑むジヨン先生。


私は少し涙ぐむ。
ああ、この人は神様だ。

私は神様と一緒に働けて幸せ者です。

心が救われた。



深々と頭を下げ、職員室を出ていく。


すると、また柱の影に隠れてこっちを見ているソユンちゃんと目があった。
「せんせ...また何かあったの？」

少し涙目の私を見ると、ソユンちゃんも悲しそうな目をする。



また心配させてしまったと思うと、自分が情けなくなった。
「ジホくんの怪我の事でね、お母さんとお話してたの。
でも大丈夫だよ、病院の先生に見てもらったら大丈夫だって。」
笑ってソユンちゃんに話す。

ソユンの企み→←初めての失敗

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