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他愛ない会話を繰り返し、やっとスタジアムに着く。時間も残りわずかということもあってか多くの人で賑わっている。やはり出身校のサッカー部見たさに来る学生もいれば、ファングッズ片手に試合を待ち侘びている女性の観客も多いようだった。前者はともかく、後者は去年までのフットボールフロンティアからは全く考えられないことだ。
「人、すごいね」
「そうね」
相変わらず友人との会話はあっという間に終わってしまう、話題を見つけて話しかけたとしても返って来るのは一言二言程度。彼女の同伴としてくるのが本当に自分でよかったのだろうか、これならば彼女と付き合いの長いもう一人の友人の方が適任だったのではないだろうか。
「‥‥‥今。秋と一緒に来ればよかったのに、って思ったでしょ」
‥‥‥‥図星だ、流石に何度も思考を当てられると一種の恐怖を感じてしまう。
だが、このまま大人しく首を縦に振ってみろ。数秒後には微笑みながら「そう、じゃあもう帰っていいけど？」、とお役御免になる未来が待ち受けていることだろう。それを見越して自分は「そんなことないよ！」と若干慌てた様子で否定をする。しかも必死に首を横に振って、このままでは首と頭がもぎとれてしまいそうだ。
「あっそ」
素っ気ない返事が返って来る。顔は端正な部類なのだからもう少しだけ愛想よくすればいいのに、と考えていればスタジアムのモニターにＶＴＲのようなものが表示され、再生された。言わずもがな、絶句である。
「いや。なに、あれ」
「スポンサード、今のサッカー部には必ずあるの」
「えっ、そのスポンサーの会社が無かったら‥‥‥？」
「廃部よ」
‥‥‥‥随分と世知辛い世の中になりましたね。
思わず脳裏に一年ほど前の記憶がよみがえる。練習試合、帝国学園、廃部、うっ、頭が。それならばスポンサーが就かずに廃部になってしまったサッカー部が山のようにあることだろう、と悲観してしまう。
「ま、待ってよ！じゃあうちのサッカー部は？星章学園の方しか出ていなかった気がするけど」
「スポンサーがまだ就いていない、ってことでしょ。多分この試合でいい結果を残せなければ―――あとは察して」
「なんでうちのサッカー部ってこう何度も廃部の危機になるんだろう‥‥‥ジンクスでもあるのかな‥‥‥」
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作者名：ゆきのさち | 作成日時：2019年7月13日 12時
