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貴「少しだけ…そう、少しだけだから。」
桜ももう散り始めてしまって、4月が終わろうとしているのにも関わらず、未だに佐久間くんはスクールアイドル部創設を諦めてはいなかった。
そんな佐久間くんに背中を押されたのか分からないけれど、私の足は音楽室へと向かっていた。
貴「…っ。」
久しぶりに触れるピアノ。
誰もいない音楽室。
浮かぶのはいつも一生懸命な彼の姿。
素直に、生きてみよう。
そう思った瞬間には、ピアノに触れていて
貴「〜♪」
気づけば歌い出していた。
まるで彼になったような気分で。
自由に、ありのままに、好きなモノを好きだと全身で叫ぶみたいに。
あれ、歌うことってこんなに楽しかったっけ。
なんて思ってたら
佐「すっげー！！！！！」
貴「え？」
ガラッと音を立てて開いた音楽室の扉。
佐「凄い！！凄いよ！！
今のはなんの曲？歌めっちゃ上手いね！もっと聞かせてよ！」
現れたのは憧れの彼。
貴「な、なんで…ここに…」
佐「いやぁ…部活の勧誘してたら先生に呼び出しくらっちゃってさ。なーんも悪いことしてないはずなのにね。
で、職員室から帰ろうとしたら君の声が聞こえてきたってわけ！」
いつも遠くから見てたから分からなかったけど、凄く顔が小さいなぁとか整った顔立ちだなあとか。
佐「ねぇ、君なんて名前？」
貴「わ、私ですか…？
水瀬(みなせ) Aです。1年A組です。」
佐「Aちゃんかぁ。特進科！頭良いんだ！
俺、1年C組の普通科の佐久間大介！よろしくね。」
貴「よ、よろしくお願いします…。」
まるで太陽みたいに笑う彼から目が離せない。
佐「ところでさ、スクールアイドル部、興味無い？」
貴「え？」
佐「学校でアイドル、一緒にしない？」
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作者名：雪色ぺんぎん | 作成日時：2021年8月22日 0時
