気にかけ ページ2
〜ゆうとside〜
ほら、また外を見ている
梅雨が明け日差しが強く差し込む中
また君は外を眺めていた
ねぇ
前より線が細くなっている
消えてしまいそうな君を
残しておかないといけないきがして、カメラを構えてしまう
レンズ越しに覗く君は
より憂いを帯びて綺麗だった
そっとシャッターを切り
数枚フォルダへ収めていく
「あ、また俺のこと撮ってんの?」
ふと、いつも通りの笑顔を向け語りかけてくる
「いのちゃん、綺麗だからさ。風景と被写体が交わってる感じが綺麗なんだよね」
俺が綺麗っていうたび、少し困った顔をする君を俺は気付かないふりをして話し続ける
「最近いのちゃん、よく外眺めてるよね」
少しの間を開け、君が口を開く
「んー、ゆうとマジで見すぎじゃね?まぁあれだ、綺麗じゃん空。新緑も空もすっげぇ綺麗だなって……ただそれだけだよ」
あ
また、嘘ついた
そうやって嘘をつくのも上手くなったね
いのちゃんが壊れないように
俺はずっとそばに居るからね
君にとって
俺という存在が必要となるように
「そっかー。そうだね、最近雨も少なくて天気いいもんね」
自然と話を合わせて
「うん。ほら、ゆうと、次出番じゃない?いってこい」
へらっと笑い、ヒラヒラと手を振る君に笑顔を向け撮影に入る
撮影の合間に君を探す
端の椅子にもたれながら寝ている君を見て少し安堵する
無事に撮影が終わり、君の方をみれば、君は次の撮影に入ってた
カメラを向けられれば一瞬で顔を作る
何年もこの業界にいたからこそ出来る技
でも
カメラが向けられてないとスっと落とす目線
どうして
ずっと隠してるの
なんで
つらいって言ってくれないの
俺がつらいよ…
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作者名:悠漆 | 作成日時:2018年5月9日 10時