▽我ら、有閑倶楽部。3 HSJ▽ (ページ36)

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「みんな集まりましたね。この方は古美術商のブランビンさんよ」

「どうも。久しぶりですな、坊ちゃん」

圭人はイギリスに居た頃に会っていたようで、その男に挨拶を返す。

宏太「この人か、あのタンスを欲しがってる古美術商ってのは」

裕翔「すごい、日本語しゃべってるよ」

れっきとしたイギリス人のようだが、ブランビンという古美術商は日本語で会話していた。

「ブランビンさんは前に母親の霊と話したそうなの。交霊会について親切に教えてくれてねぇ」

「いやぁ私も半信半疑でしたが、話せたときは驚きましたよ」

大貴「こいつかよ、圭人のばあちゃん誑かしたの…せっかくのクリスマスパーティーが…！」

侑李「しー！聞こえるって」

「あぁそうそうブランビンさん、この子は慧くんといって家具には詳しいのよ」

そう言って、圭子は慧を紹介した。

慧「はじめまして、日本語お上手ですね？」

「どうも。仕事がら日本にも長くいましてね」

ブランビンは慧が家具に詳しいと聞き、少し身を乗り出すように話し始めた。

「というと、あのチッペンデールはもう…」

慧「拝見しました。あれはもう芸術品ですね」

「いやあ、あれは我々の仲間でも幻の逸品と言われてましてねぇ！！」

その言葉に涼介とAの良心が痛む。

「あの艶…あのカーブ…！全財産なげうってでもほしいですよ…！」

慧「へ、へぇ…」

「いや、手放さないのはわかっております、しかし三点セットでおまけに王家の特注品ですぞ！チッペンデールの最後の作品と聞けばもう…！」

熱くなりすぎているブランビンに、さすがに慧もぎょっとする。しかしブランビンは気にしていないのか、はたまた気づいていないのか話し続ける。

「あれがこの城にあるというだけで、私なぞ体が震えて…あれこそ美の極致ですなぁ」

光「やべーな、あいつ目の色が変わってるよ…」

宏太「マニアってのはそーいうもんだよ」

例の家具について熱く語るブランビンを見て、有閑俱楽部のメンバーはみな引き気味だった。

特に涼介とAは『バレたらこいつに殺されるかもしれない…』と、密かにぞっとしていた。