▽我ら、有閑倶楽部。3 HSJ▽ (ページ27)

今日:41 hit、昨日:11 hit、合計:94,697 hit

・ページ27

その頃当のの本人は…

涼介「この音…ヘリコプター？」

「もう陸から近いですからね」

ヘリの音もしっかりと聞こえるその場所、船のデッキに涼介は連れて来られていた。

星の見える夜の船上、そこに男女２人(実際は男２人だが)ということでなんだかいい雰囲気になってきている。

涼介「っ、何だか寒いので…船の中に戻りませんか？」

このままではマズい、と身の危険を感じた涼介は船の中へ戻ろうと提案した。

涼介「ほら、お付きの人にも悪いですし…」

公爵のお付きの男たちは、夜なのにサングラスをかけたままデッキの入口にしっかり整列して立っている。

それを見て涼介は言ったが、公爵はずい、と涼介に迫る。

「つれないことをプリンセス、もうすぐ結婚する仲じゃあありませんか…」

涼介「(まじか…！う、うそだろー！？)」

ニヤニヤと顔を近づける公爵に、涼介は焦って色々と弁解する。

涼介「こ、公爵、そういう事は結婚してからじゃないと…う、うわっ…」

感じた事のない恐怖で思わず目を瞑る涼介。

その瞬間、公爵はさっと小型ナイフを取り出した。

侑李「いた！涼介だ！」

光「涼介！そいつから離れろ！！そいつ、偽物だ！！」

涼介「えっ…えぇっ！？」

現れた光の言葉に目を開けると、公爵がナイフを持っていることに気が付き、涼介は驚きの声をあげる。

雄也「本物の公爵はホノルルに来る途中で暴漢に襲われて、今入院してんだ！」

「チッ、どうやらバレたようだな」

公爵は吐き捨てると、光たちが駆け寄るより早く、目の前の涼介にナイフを突き刺した。

涼介「うわっ…！」

「「涼介！！！」」

叫び声を上げて地面に倒れ込んだ涼介。

その場にいた光、侑李、雄也の３人はショックで立ち止まってしまう。

頭上からはヘリの音と共に、『さすがプロ、心臓に刺さったぞ！』『はしごをデッキに下すんだ！』と話しているのが聞こえる。

中には公爵…のフリをしたプロの殺し屋の仲間、もしくはミュスカ暗殺を目論む義母側の雇い主が乗っているのだろう。

信じられない、信じたくないこの状況。

侑李「この…やろう…、よくも…」

珍しく怒りを露にした侑李が拳を震わせた。

光、雄也も怒りの籠った目で公爵の姿をした殺し屋を睨みつける。

しかし、相手はプロだ。すぐに光達に銃を向けて「動くな！」と脅した。