▽我ら、有閑倶楽部。3 HSJ▽ (ページ12)

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「悪いけど、今回は捌けないわ」

とあるホテルの一室、雲海組の幹部であるパンチパーマの男に言うのは此花チーフだ。

「これ以上日本にいるとヤバイから、残念だけどお別れね」

「勝山はどうする？」

「喋りゃしないわ。知らなかったとはいえ、盗品の宝石を運んでたのはあの娘なんだから。ショーのアクセサリーと一緒にね」

有閑倶楽部の読み通り、宝石の窃盗は雲海組、売り捌いていたのは此花チーフだったのだ。

ショーのアクセサリーに盗品の宝石を忍ばせていたが、実際に運んでたのは此花チーフの片腕である勝山京子で、共犯の意志はないものの運んでしまったことは事実だった。

勝山は途中でそのことに気が付いたが、どうやら金で脅されているらしい。
「もう少し脅して小遣い銭でもやったら？」と此花チーフは吐き捨てた。

「俺は、あのダイヤが欲しいんだがね」

パンチパーマの男はそう言うと、

「お前がドジしてあのモデルにやられたんだ、飛ぶんなら落とし前つけてからにしろよ」

と、タバコを吸いながら此花チーフを睨むように見た。

どうやら、此花チーフのミスでマルガリータはダイヤのイヤリングを手に入れたらしい。

此花チーフはその言葉に了承すると、静かにホテルを出て行った。

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雄也「どうする？親父にバトンタッチする手もあるけど」

光「そうだな、犯人はわかったことだし」

打ち上げの後、慧の家に集まったメンバーはそう話す。

侑李「ねぇ、もう高飛びしてるんじゃない？」

涼介「でも諦めるか？コレ、相当な代物だろ？」

涼介はダイヤのイヤリングを見て言った。
さすがにこのイヤリングを置いて日本を高飛びするとは思えなかったのだ。

と、一本の電話がかかってきた。
しかし、現在夜中の2時過ぎ。怪しすぎる電話だった。

宏太「犯人かもしれない、犯人からの呼び出しならうけろよ？」

そう言われた慧は恐る恐る通話ボタンを押し、メンバーにも聞こえるようスピーカー機能にした。

『…わかってると思うけど、あのダイヤを返して欲しいの。あなたが持っていても仕方ないでしょ』

相手は、此花チーフだった。

『そんな目立つ盗品、売りさばけりゃしないわよ。…あなた達、自由に使える大金が欲しいんでしょ？でなきゃ、警察に届けるはずだもの』

此花チーフは笑いながら続ける。

『まさか、少年探偵団ごっこでもないでしょ』

「「(それが正解なんだけど…)」」