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59話 ページ10

紫呉が帰宅した頃はすでに10時を回っていた。

紫呉「ただいまぁ。」

ドアの音にきづいたのかはとりがこちらに向かってきて言った。

はとり「やっと帰ってきたか……」

紫呉「うん。はーさん、由希くんはもう寝た?」

由希の明日のためにはとりに聞く。

はとり「あぁ。綾女をずっと蹴り上げていたからな。疲れたのか9時頃には部屋に入ったぞ。」

紫呉「そう。良かった。はーさん、突然で悪いんだけど車だしてくれない?」

由希が寝ている事に安心し話を続ける。

はとり「車?また何処へ行く気だ?」

はとりが聞くと紫呉は悪い笑みを浮かべた。

紫呉「ちょっと由希くんをね。」

はとり「誘拐か?犯罪に関わるのはごめんだぞ。」

はとりは顔をしかめて冗談半分に言う。

紫呉「違うってば!神童家の奥様が由希くんに話があるってさ。本当は明日の放課後なんだけど、由希くん絶対行かないでしょ?」

はとり「だから、目覚める前に車で運ぼうって話か?」
紫呉の言い分に珍しく納得する。

紫呉「ぴんぽーん。」


はとり「まぁいい。あの奥様のことは良く分かってるつもりだ。車を回しておく。由希を連れて来い。」

紫呉「流石はーさん。ありがとう。」

紫呉は心からの感謝を伝えた。

はとり「あぁ。くれぐれも起こさないようにしろよ。」

はとりも普段あまり見せない表情で言った。

紫呉「大丈夫。あー見えて由希くん意外とガードゆるゆるだから。」

それを聞いてはとりはフッと笑って言う。

はとり「本当に意外だな。まぁ、いい早く連れて来い。」

紫呉「了解……」


紫呉は由希の部屋に向かう。

ギシギシと階段が軋んだ。

階段を登り、扉を開けようとした。

その時、、

「紫呉さん!帰っていらっしゃったんですね!」

紫呉「うわっ!?と、神童さんか……」

そうか……この家には彼女もいるんだったね…

彼女にも……話しておくべきか……

紫呉はAに向き合って言う。

紫呉「君に、大切な話をしておくよ…」

A「…はいっ…」

紫呉はAに話した。由希を連れて行くこと。誰の元へとは言わないけれど由希が苦手としている人の元へ連れて行くということを、とっても大切なことなんだと伝えた。

すると彼女は笑って言ってくれた。




「私、由希くんを信じていますよ。だけど、もしお相手の方が由希くんの涙に触れてしまったその時は私を呼んで下さい。1番拭き取りに行きます。笑顔にしに行きますから!」




私は由希くんの涙に1番弱いのですよ…

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作者名: | 作成日時:2019年1月19日 0時

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