94話 ページ45
「A、例え母親であってもあの人は平気でAに手を出そうとしてくる。神童家に呼び出しが来ても俺1人で言った方が良い。Aが危ないよ。Aが傷つけられるのは嫌なんだ.....。それを見るだけでも.......」
そう話す由希の手には力が込められていて必死さが伝わる。単純に嬉しかった。由希も自分を想ってくれている。お互いに想っている事実を改めて知った。
Aは少し由希の肩にもたれるようにして、
言う。
「ありがとうございます.....心配.....してくれて.....由希くんの気持ちは良く分かります。
私も由希くんが危ないのは嫌です。.....由希くんが傷つけられるのはもっと嫌です。.....離れたくないです。隣で。由希くんの隣はずっと私がいいです。....大好きなんです.....」
先程とは対象的な優しい声をできるだけ出して言ってみた。大好きな貴方に想いが届くように、言ってみた。伝わるようにいってみた。
でも、由希は何も話さない。由希の顔を見上げると目線がしっかりと合う。大きな瞳で見つめ返してきた。
「由希...くん...？」
Aがそう尋ねると由希は目線を離さないまま、まるで瞬きもしていないかのように言葉を並べる。
「俺は.....Aが幸せでいてくれたらそれでいいと思ってた.....例え俺が不幸でもいいって。でも、今思うと気づいたんだ。Aが俺だけを不幸にしたまま1人で幸せになるような事を選ぶようなひとじゃないって。一緒に不幸も背負って隣にいてくれるような人だって。
それが俺の好きになった人だって.....
気づいたんだ.....」
澄んだ瞳でそんなことを言ってくる由希をただ見つめ返すことしかできない。
何か言いたいのに言えない。
ありがとうって言いたいのに。
やっとのことで絞り出した答えはこれだった。
「そう言ってくれるだけで、もう充分贅沢な気がします.......私も隣で支えます。一緒に戦いましょう！」
すると、由希は頷いてこう言ってくれる。
「戦ってる時間も2人の想い出になる様に.....2人で守りあっていこう？...いつも.....いつも.....」
顔を見合わせ微笑み合う。
いつまでも忘れることのない時間がこの瞬間に始まろうとしている。
例え、相手がそれぞれの本家だとしても。
誓い合おう？
ーどんなときもいかなるときも。キミを守るとて...隣にいると.....ー
窓を見ると、もう夕暮れ時。
時が流れるのは早いなぁ、、、
そう感じた日だった、、、
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名：翼 | 作成日時：2019年1月19日 0時
