92話 ページ43
一方夾andAはいつも通りの居間に座っていた。いつもより空気が重い。
そんな中に先に夾が様子を伺いながら口を開く。
「えーっとだな.....恐らく紫呉と茜の奴が行ったのはお前も勘づいている通り神童家だ。」
それを聞いて今まで少し俯いていたAもゆっくり顔をあげて、口を開いた。
「...私と由希くんを引き離して、茜ちゃんとくっつけるために.....」
心の中で少し涙が溢れそうになる。先程までの幸せだった時間から、急に現実に引き戻される様な感覚だ。Aの頭の中に夾の声にのせて嫌な単語が響く。
「恐らくクソ由希には何かしら罰が与えられるだろうな。」
夾は気の毒そうに言った。遠くを見つめて。
「もうっ.....なんでっ.....なんでそこまでっ...」
Aはめをぐっと閉じて涙を堪える。夾はそのまま続ける。
「茜の奴との関係の為に1度直接話をしてるにも関わらずこうしてお前の傍にいるんだからな。」
「そんな.....」
頭の中は一気に真っ白になった。大好きな人が苦しめられる。その事実だけで辛くなった。想像しただけで嫌になる。
また、下を向いてしまう。
でも、そんなAに夾は言った。
「でも、それだけお前の傍にいたいってことだよな。それなら多少は良いんじゃねーの？」
夾が顔を上げたAに、少し微笑む。Aも少し笑顔を見せた。
「ホント....由希くんは頭は良いのに馬鹿野郎だなぁ.....
ねぇ、夾くん？」
涙を拭って夾に聞く。どうした？、と言うような顔をする夾にAは続けた。
「この世で1番大切に想ってる人が傷つきそうな時.......夾くんならどうやって大切な人を守るの？.....」
夾は間を置いてとても優しい顔で優しい声で答える。
「....暴れてやる。俺の大事なやつに手ぇだしてんじゃねぇって暴れてやる。
お前はどうすんだ？」
「私は...お母様に伝えてみる。由希くんをこれ以上苦しめないでって。」
「そんなんで通じる相手なのか？」
「分からない....。けど、一応私の母親だから口を出せるのは由希くんより私の方だと思うから...」
割と決断は早かったのだ。由希が苦しめられるくらいなら好いてない母親とも1対1になることくらい簡単にできた。共にいられるならそれだけで。そう思えばこの選択が1番な気がした。
夾はペットを見るような目で言ってくれる。
「そーかよ。まぁ、頑張んな。」
「うん...ありがとう本当に。じゃあ私行くね。」
ありがとう夾くん.....
由希くん、今、行きますよ!!
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翼 | 作成日時：2019年1月19日 0時
