私の隣には1人の王子さまと神様がいます！ (ページ42)

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91話ページ42

「ただいま～」
「ただいまですっ！」

由希とAは2人で手を繋いで家に帰ってくる。それを楽羅が迎えてくれた。

「お帰りなさい！Aちゃん、ゆんちゃん！」

由希は「ただいま」と短く返すと楽羅に聞き返す。

「紫呉はまだ帰ってきてないの？」

「そういえば、茜ちゃんもいない.....」

Aもきょろきょろと周りを見回した。
楽羅は少し不安そうに2人を見て言う。

「しーちゃんはまだ.....茜ちゃんもゆんちゃん達が出てった後に直ぐどこかへ出かけてしまったっきり帰って来てないんだ.....」

楽羅の言葉に由希は1つ心当たりがあり、ボソッと呟いた。

「神童家.....かな.....」

それを聞いたAがすかさず必死な表情で言う。

「神童家ですか.....絶対に由希くんは行ってはなりませんよ！」

「Aは心配性だなぁ.....行かないよ。」

Aの必死さを愛おしく、有難く思いながら安心させるように由希は言った。Aもそんな由希に安心させられる。

すると、2人が帰ったことにようやく気がついた夾が居間から顔を出し言い放った。

「A。昨日の夜、茜と紫呉が話しているのを聞いた.....聞くか？」

あえてAだけに聞かせようとするのも夾の優しさなのだろうと思い、Aは由希に目線をやる。

由希はAに向かって頷くと、

「聞いておいでよ。後で俺にも教えて？」

そう言って見送った。

「ありがとうです。由希くん.....教えて！夾くん！」

Aは由希の言葉に納得し、夾の後をついて行こうとする。が、途中で由希の方へ振り返って言う。

「由希くん！私が夾くんとのお話を済ませたら部屋に行ってもいいですか？///その時、お話の内容も伝えますから///」

由希は一瞬目を丸くしながらも優しく「もちろん。」と、了承した。ぱぁっとAは顔を明るくして由希に背を向け再び夾の後を追っていく。その背中を由希はじっと見つめ、呟いた。

「どうしてAみたいなひとが俺なんかを好きになってくれたんだろう......」

すると今まで黙っていた楽羅が由希に向き直り、胸に手をあてて言う。

「初めてだったんだと想うよ。ゆんちゃん程好きになってあれだけ守りたいって想うひとは。それはゆんちゃんもでしょ？ちがう？」

由希は黙って楽羅の話を聞いていたが、しばらくしてゆっくりと話しだした。

「その通りだね.....誰よりもあの笑顔を守りたいって想う。傍にいさせてって想うよ.....」

由希と楽羅は黙ってAが消えた方を見つていた。