私の隣には1人の王子さまと神様がいます！ (ページ37)

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86話ページ37

朝食が終わり、Aと楽羅が食器を片付け出している頃、紫呉がシンクにいるAに声をかけた。

「ねぇねぇ神童さん。」

「はーい！どうかしましたか？紫呉さん？」

Aは皿を洗う手を止め、紫呉の方を向く。
紫呉は申し訳なさそうに両手を合わせて言った。

「実は今日色々と用事があって.....留守頼めそうかな？」

「え.....」

今日、朝食の1時間後由希と約束をしてしまったAは少し戸惑う。

「無理そう？」

紫呉にそう言われ今日は由希との桜は諦めるしかない.....そう思ったその時、楽羅がそっとAに「私が夾くんと残るから大丈夫...」と、耳打ちした。途端、Aは笑顔になり紫呉に言う。

「いえっ！私は無理そうですけど、楽羅ちゃんと夾くんがいてくれるそうなので.....」

「そう。それなら楽羅よろしくね。」

紫呉はAと楽羅に何かを察し微笑むと楽羅に留守を託した。

「うん！夾くんと一緒にお留守番してるー！」

楽羅は夾といられれば何処にいたってよかったので、喜んで留守を引き受ける。

「調子いい事いいやがって///」

夾は少し不満そうな声を出しながらも満更でもない様子で少し照れて顔を下に向けていた。

「俺たちもいるんだかな...」
「ほんと...」

それを完全に視聴者目線で見せられたはとり、春、紅葉はただ見守ることしか出来無かった。その頃綾女は朝シャンをしていたとか.....

じゃあいって来るよ。と、紫呉が出かけて行ったのを見送りAも自分の準備にとりかかり、2階の自室へ上がっていく。

その頃由希は準備を済ませ自室でベッドに横になって天井を眺めて考え事をしていた。

「.....もし.....俺とAが一緒に生きようとしたら神童家はなんて言ってくるんだろう.......認めてなんかくれないに決まってるよな..........」

自室で1人そう呟く。由希は目を閉じて考えた。もし、自分がAに想いを伝えた時どうなってしまうのか。

きっと.....全力でAを俺から引き離しに来るんだろうなぁ.....

何かAに危害を加えて来るかもしれない...

Aが穏やかな生活を送れなくなるかもしれない.....

隣にいたい.....そう想うのは哀しくなるだけか.....

そんな事を考えていると扉が大きく開いた。

「由希くん!!!!丁度1時間後ですよ!!!!行きましょう!!!!」

あ.....A.....可愛い.....

「ほんと...ピッタリ。じゃあ行こうか。」

「はいっ！」

Aは満面の笑みで答えると2人で玄関に向かった。