私の隣には1人の王子さまと神様がいます！ (ページ31)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:66,242 hit

80話ページ31

Aは一瞬時が止まったかの様に黙り込んでから感情をあらわにして言った。

「なんで、そんなことを言うのですか!?私は貴方に…由希くんに…ごめんなさいしか伝えられないのにっ‼」

ほぼ、由希を攻め立てる様な言い方だったと思う。それでも由希は優しく続けてくれる。

「…君が……来てくれた……それが、その事実が、、、うれしかった……」

神童家の前でのことを思い出して泣きそうになりながら

「……そんな…私はっ……」

と、言い返す。そんなAの頭にポンッと手を乗せゆっくりと話してくれた。

「Aが手を握り返してくれた……とっても……安心したんだ…救ってくれたんだよ…」

由希の優しい声に甘えてしまい、言いたいことを全て言ってしまいたい……そんな気持ちでAは言葉を繋ぐ。

「私はっ…不安で不安でたまらなかったですっ…！由希くんがそのまま消えてしまいそうで怖くてっ……今だって、一緒に会話をしているのが……夢のように幸せでっ……」

(……どんな綺麗な場所でも、貴方がいなければなんの意味も無い……そう思えるくらいには幸せだった……)

Aの言葉に一瞬由希は驚いた様な表情を見せる。が、直ぐにAの想いを察した様に切なく笑うと言葉を繋いだ。

「俺もそう想う。この時間を大切にしよう？もうあやまらなくていい……感謝の言葉で十分だよ……。」

そう言って、もう片方の手でAの手を握る。Aは涙を必死に堪えて言った。

「…ありがとうございますっ……ここにいてくれて……笑ってくれて……励ましてくれてっ…ありがとうございますっ……」

本当に……ごめんね……無理矢理言わせて……本心はそう想いながら由希も応える。

「どういたしまして、、、…」

(限りある時間がもう少しだけ欲しい……限りある時間を君のためだけに使いたい……君の側にいるだけでいいから……時間が欲しい……君を想っていられる時間を、君の笑顔を、君との想い出を作る時間を、君を諦める時間を……)

(……由希くん……貴方の手をずっと握っていたい……いつでも、由希くんの帰ってくる場所がここであってくれればいい…貴方の側に…貴方の側で見守らせて欲しい……最期まで貴方の笑顔見ていたい……もう少しだけ……貴方を愛し続けていたい……)

そう想いながら2人は手を握り続けていた。お互い、自分の気持ちを諦めるつもりで今この手を一生分握り続けていた……