私の隣には1人の王子さまと神様がいます！ (ページ20)

今日:20 hit、昨日:1 hit、合計:66,253 hit

69話ページ20

「再教育って何をするつもりですか！？」
Aの過去を知っていた由希は沙緒が正しいことをするとは思えず言い返してしまう。
それに対し、沙緒は何でもない様に言った。

「少し引っ叩くだけよ、、、」

「…っ！」

由希は過去に自分の母親に言われた言葉と沙緒の言葉がリンクして肩が震える。

「……う……ぅん…」

2人がいがみあっていると秀が声で目を覚ましたのか目を半開きにした。

「秀くん‼」

由希が秀に起きるよううながし、名を呼ぶ。

「…ぇ…由希にい…ちゃん…？……！？」

秀は一度由希の名を呼び辺りを見回して目をパチパチさせると自分を抱えているのが由希ではないことに気づいた。
沙緒を目がとらえると同時に秀の顔がどんどん引きつって怯えた顔になっている事がよく分かる。

「よく眠れたようね。秀。」

沙緒はそんな秀に容赦なくきつい目線を突き刺し、目で訴えかけた。

「……お…かぁさま…」

秀は半泣きになりながら弱々しい声で沙緒を呼んだ。それでも構わず沙緒は秀を怒鳴りつける。

「何をしていたの!?勉強は!?そんなだから計算の一つもできないのよ‼遊んでる暇があるなら！寝てる暇があるんだったら勉強しなさい！このままだと貴方の姉みたいに人生台無しになるわよっ‼」

「…!?」

由希はAの名前が出たことに衝撃を受けて固まる。

「僕の…お姉ちゃん…？」

秀は姉の存在に理解が追いつかなくなる。
沙緒はそんな秀に目を見開いて言った。

「ええそうよ！何一つできない駄目な人よ！秀はそうなりたいのっ!?」

何一つできない駄目な人。

この言葉を言い返してやらなきゃいけない。

何も言わないままではいけない。

支えてくれている彼女に申し訳ない。

そう思って由希は拳を握って叫んだ。

「…駄目なんかじゃない‼Aはあんたみたいに駄目な人間じゃないっ‼あんたみたいな人間からよくあんなに優しくて、暖かくて、笑顔が綺麗な人が生まれたね‼ほんと許せないっ‼Aは駄目な人間なんかじゃないっ‼」

絶対に違う……

自分で言っていて悲しくなってくる。

Aは駄目じゃない。
Aは優しい。
Aは暖かい。
Aが大好き。

色々な想いが溢れてとまらなかった。