66話 ページ17
一方由希は…
屋敷の前に立ち尽くしていた。
「そりゃそうか…約束の時間放課後だもんなぁ…」
由希は桜の木にもたれかかってため息をつきゆっくりと目を閉じた。風が心地よい。このまま眠ってしまいたい。そんな気がした。
そんなことを思っていたその時
秀「お兄ちゃんもお母様に会いにきたの？」
突然声が降ってきた。
由希「え？」
由希は驚き目を開ける。
秀「あ、起きたっ！」
目線を下げると男の子がいた。
由希「君は……」
秀「僕は神童秀！お兄ちゃんのお名前は？」
あどけない笑顔で尋ねてくる。
由希「俺の名前は由希。草摩由希だよ。」
由希も目線を合わせて答えた。
秀「じゃあ、由希にいちゃんだ！」
由希「うん。それでいいよ。」
秀「でも、草摩って何処かで聞いたことあるだけどなぁ……まぁいいや！お兄ちゃんは何をしに来たの？」
由希「俺はこの屋敷の沙緒さんって人と話をしに来たんだ。」
秀「そっか……由希にいちゃんも……」
由希「前に誰か来たの？」
秀「うん。紫呉おじさんって人。」
由希「そっか…紫呉が…」
秀「帰った方がいいよ…由希にいちゃん…」
由希「どうして？」
尋ねると秀は急に血相を変えた。
秀「まさか、由希にいちゃんお母様の怖さを知らずにこんな家に来たの？！こんな家に来たらどんな目にあうか分かんないよ！？」
由希「君はここの息子さんなんだ……」
そして、Aの弟……
秀「そうだよ……草摩って思い出した…にいちゃん、茜のお相手の人だね？」
由希「許嫁のことまで知ってるの？」
秀「そうだよ！由希にいちゃん今すぐここから逃げて！お母様が言ってたんだ！草摩のお相手をこの家から返さないって！」
由希「そんな…まさか、、、」
秀「だから帰って……」
由希は瞬きをしてすぐに決断をだした。
由希「……ごめんね秀くん。俺は逃げないよ。」
秀「なんでっ！」
由希「待っててくれてる人がいるんだ。何日でも待っているって言ってくれた人が。」
秀「…」
由希「その人に怖くなって逃げて来たなんてカッコ悪すぎて言えないや。ちゃんと話をつけてその人の元に帰りたいんだ。」
由希は空を見上げ出来るだけ明るく話す。
秀「…そっか…やっぱ由希にいちゃん格好いいや。でもその代わり僕と遊んで！時間あるでしょ？」
秀が笑顔に戻る。
由希「うん。もちろんだよ。」
安心してもちろん由希も笑顔で了承した。
秀「やったあ！」
年相応の笑顔に由希から自然に笑みができた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名：翼 | 作成日時：2019年1月19日 0時
