千年の愛 (ページ15)

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鬼斗｢あの方が真っ向勝負で負けたという話は聞いた事がないです。神は別としてですけど。というかあの人神と戦わないんですよね。身をわきまえてますから｣
魅花｢ふぅん……今酒呑童子が住んでるところを考えると｣
来也｢やはり大江山だろうね｣
鬼斗｢間違いないと思いますよ。土地にも愛されてましたから｣
魅花｢居場所が分かるなら……｣
来也｢話し合いに行きますか？｣
魅花｢なんで？｣
来也｢え？｣
魅花｢酒呑童子は人間が好きじゃ無さそうだったから無理に話す必要なんてないでしょ｣
来也｢でも、悪さをするかもしれないよ？｣
魅花｢昨日は私達に会いに来たんだと思う｣
来也｢会いに来た？｣
魅花｢玩具を手に入れた子どもに近いんじゃないかな。運命は動き出す、まるでそれを伝えるためかのようにやって来たし……早く伝えたくてうきうきしてたんじゃない？｣
来也｢でも危ないよ。対策本部にも狙われてる｣
魅花｢それこそ人間が手を出したら怒りを買う。それに悪さが目的なら今頃私達は生きてない｣

それもそうか……と来也は納得する。

魅花｢困った時に助けられるよう準備だけしてればいい｣
来也｢うん、そうだね。流石魅花ちゃん｣
魅花｢手は離しても心を離さなければ大丈夫｣

【手は離しても心は離してないわ、絶対】

いつぞやの記憶が蘇る。
あれは月影家に来た初日だっただろうか。
魅楽玖、やっとお前の無念を晴らせるかもしれない。待っていてくれ。

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来也｢んー！これも美味しいです！｣

日が暮れた頃に母さんがやって来て来也を晩御飯に誘った。本家の当主からの誘いは断れるわけもなく最初は緊張していたが母さんの料理を食べていく内に打ち解け始めた。

来也｢すみません、傘下の僕が食卓に呼ばれてしまい｣
魅千代｢構いませんよ。傘下とは言え太光寺家のご当主。無下には出来ませんから｣
来也｢流石は月影家ご当主。月影家が本家たる理由が再確認出来ました｣
魅千代｢お若いのに大変でしょう｣
来也｢えぇ、まぁ……。でも、まだ学校に行けてるだけ幸せだと思います。妖と人間の学校。本当に素晴らしいです｣
魅千代｢本当に口が上手いこと｣
来也｢本心を話してるだけですよ｣
魅花｢……｣

私は黙って2人のやり取りを聞く。

魅花(これはお互い褒めていると言うより……)

勘ぐってる。
仲が悪いわけじゃないだろうけど相手から情報を聞き出そうと必死になってるな。