まほやく！(妄想)2

東の国 ページ41

(私は魔法使いではない)
ファウスト｢あはは！痛かったな、大丈夫か？｣
思いっきり走って石につまずき転んでおでこを擦りむいた。私は驚いて痛くて大泣きをしてしまった。
私はこんな痛い思いをしたというのになんで兄様は笑っているのだろう。少し怒っていたけれども、広げられた両手を拒むことなく私は気付ば兄様の懐の中で泣いていた。
よしよしと頭を撫でてくれる兄様は優しくて、暖かくていつの間にかおでこの痛みはなかった。

(私は魔法使いではない)
シノ｢待ってろ、すぐに食べるものを持ってくる！｣
シャーウッドの森は広大で大きな生物も危険な生物も沢山いる。
もう私には自由に動ける足がなかった。
さっきそこに転がっている化け物に足を持っていかれてしまい血が止まらない。
十分に治療出来るものもないし、そもそもどうやって血を止めるのかすらも分からない。にぃには食べ物を持ってくると言ったけど、どうするつもりなのだろうか。
まさか食べ物だけで足が治ると思っていただろうか。
だったら食べ物はいらないから私はにぃにと一緒に居たい。

(私も魔法使い)
ヒースクリフ｢………俺が…｣
ブランシェット家長女の魔法使い。
お兄様も魔法使いだがお兄様は自分のことが好きじゃない。
勿論私もだ。私までもが魔法使いで生まれてしまったせいでブランシェット家は怪訝な目で見られることが多くなったと噂で聞いたからだ。
ごめんなさい。私が魔女で。
ごめんなさい。お兄様みたいに美しくなくて。
ごめんなさい。迷惑ばかりかけて
ごめんなさい。生まれてきてしまって。

(私は魔法使いではい)
ネロ｢起きろ！起きろって！！！｣
北の国の雪原の上。
どうしてこんなところに居るのか私は覚えていないけれど目の前に泣きそうな顔をしたネロがいる。
あぁ、なんでそんな顔をしているの？ダメだよ泣いたら。涙が凍って目があかなくなっちゃう。
あ、でもネロは魔法使いだから温まることができるのか。あー、私も魔法使いだったらな。そうしたら私は自分を温めて村にでもたどり着けたかもしれない。
…兄さん温めてくれてありがとう。でも、もう大丈夫だから兄さんは暖かいところを捜して欲しい。

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