まほやく！(妄想)2

中央の国 ページ28

オズ｢言え、誰がお前を泣かせた｣
賢者。と低くて凍りつくような声が聞こえ、その声の方を見ると杖を持ったオズが立っている。
その目は普通の人間が見たら見ただけで人を殺せるような恐ろしい目。
しかし、私は知っている。あの目の中にはそれだけではないことを。
誰のせいでもないんですと分からないという状況を伝える。
オズ｢役目囚われるな。手遅れになる｣

アーサー｢賢者様！！大丈夫ですか！｣
夜の森で座り込んでいる賢者を見て真っ先に思う大怪我の可能性。しかし、近寄ってみると賢者の体から血は流れてない。流しているのは涙のみだった。
私の目線に合わせ土に膝を着くアーサーに思わず私は抱きついてしまう。そしてすぐに抱き締め返してくれるアーサーに安心し、涙も収まってくる。
そして、何があったかをポツポツと分からないなりに伝えた。
アーサー｢お疲れなのですね。いつも私達の為に死力を尽くしてくださってありがとうございます。賢者様｣

カイン｢晶！！…どうした、何があった？｣
夜練をしていると突如聞こえてくる賢者の泣き声。ただ事ではないその声を頼りに森の中へと入っていく。1番声が大きく聞こえるところに触れるとそこは賢者の背中だった。若いながらも大きくて頼りになる強い手。左右の違う綺麗な目は私を落ち着かせた。忙しくて、でも辛くはなくて、わけも分からず涙が零れていて止められないんですと私は目を擦りながら伝えた。
カイン｢あんたにばかりいつも無理させてすまない。ありがとな、晶｣

リケ｢賢者様！？大丈夫ですか？もう僕が来たので安心してください｣
夜、お祈りをしていると遠くから聞こえる賢者様の苦しい声。声に導かれ森の中へ入ると座り込んで両手で顔を覆っている賢者様。
賢者の手を握りお祈りをするようにじっと泣き止むまで待っててくれる。
その清らか祈りが叶ったのか不思議と心が落ち着いてくる。落ち着いた後に泣いていた理由を話した。
リケ｢賢者様の為にお祈りを捧げましょう。どうか賢者様が安らかでいられますように……｣

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