愛されたもの達よ (ページ12)

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私は一旦部屋へと戻り、皆が居なくなったのを見て再び食堂へと戻る。
そして散らかった分を片付けを始めた。
現時刻は深夜2時。明日は授業が終わったあと記録班に行かないといけない。皆頑張ってくれてるのに私だけ抜けてしまって申し訳ないな。だからせめて片付けだけしようと戻ってきたはいいが作りかけの看板やらペンキやらあって思った以上に時間がかかりそうだ。マナを使ったら感覚が鋭い趙華ちゃんや那音君が起きてきてしまうので自分の手で片付けをしていく。
物音も立てないように慎重に……。

佐久間)あっぶね

後ろから声が聞こえたのでそちらの方を見ると倒れてきたと思われる木材を片手で私を守るように受け止めてくれた先輩がいた。

真琴)！先輩？
佐久間)お前、疲れすぎだろ。背後取られて気づけねぇとか
真琴)すみません……

佐久間先輩は木材を床に起き直す。

佐久間)皆は？
真琴)皆辛そうだったので休んでます。私も休もうと思ったのですが目が覚めてしまって
佐久間)ふぅん
真琴)先輩は？何故ここに？
佐久間)腹が減ったから夜食
真琴)ふふっ、先輩昔からこっそりよく夜食作って食べてましたよね
佐久間)こっそり食べる夜食ほどうめぇもんはねぇだろ

先輩はキッチンの方へ入っていき、少し考えた後料理を始める。その間に私は片付けをして段々と漂ってくるいい匂いに釣られるように先輩を見ていた。

佐久間)いい匂いだろ
真琴)はい
佐久間)これ俺の実家で作ってる調味料なんだ。俺ん家でしか売ってねぇ
真琴)いいですね
佐久間)来てみ

私は一旦物を置いて佐久間先輩の近くへ行くとスプーンに入ったスープを1口食べさせてくれた。

真琴)ん！ほんと、美味しい！
佐久間)だろ？なんの料理でも合うからまじでこれ好き
真琴)確かに……。いくらで売ってるんですか？
佐久間)1万
真琴)……まぁ、それくらいしますよね
佐久間)冗談だよ。まぁでも家で売ってるもんじゃ1番高い

私は佐久間先輩をじっと見つめる。
もう二度と帰ってこないと思っていた存在。

佐久間)……俺の顔そんな好きか？
真琴)ひぇ！？あ、すみません。嫌いじゃないですよ！
佐久間)……なぁ、真琴
真琴)はい？
佐久間)俺の事まだ好きか？
真琴)……

包丁で鶏肉を切りながら日常会話のようにその言葉を放った。この人の精神どれだけ図太いのだろうか。

佐久間)ちなみに俺はまだ真琴のことが好き
真琴)……