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オーエン「ねぇ、中央の国ってさ馬鹿だよね。自分を犠牲にしてまで仲間を守ろうとしてさ。結局助けられるわけないのにね」
マナ石が少しガタッと動く。
オーエン「僕は君を知らないけど死んでまで何かをしようとするなんて滑稽だとしか思えないなぁ。結局は自己満足でしょ?」
部屋の空気が重くなる。
オーエン「きっとお前もそんなところじゃないの?仲間の為に死んでいったヒーロー気取りの偽善者」
マナ石から黒い液体がオーエンに向かって飛ばされる。
けど、オーエンは予測していたかのように避ける。
オーエン「ははっ、やっぱり中央って単純。中央って東みたいにこそこそやらないし真っ直ぐだから分かりやすいよね」
マナ石から女性が現れる。
先程見た時より顔が崩れている。
【お前に……何がわかる!北の魔法使い!!】
オーエン「さぁね。知らないし知りたくもない」
【これだから北の魔法使いは嫌いなんだ!力でねじ伏せたかと思ったら何もしなくなる。あのオズが中途半端で世界征服を辞めなければ!!人間と魔法使いが手を取り合う国なんて作らなければ!!】
晶「……人間が嫌い?」
【大嫌い!!いっそこと国1つ滅ぼしてその国は魔法使いだけが住む国を作ればよかったんだ!!そうしたら私の家族や仲間は死ななかった!】
晶「……」
私はなんだかこの魔女が……今この場で思うには不謹慎かもしれない。
だけど……。
晶「……私、貴女が羨ましいな」
ミスラ、オーエン「え?」
【はぁ?】
晶「ごめんなさい、勿論貴女が苦しんでることは重々承知してる。けど……私にはそんな大事に思える人なんていなかった。誰かの為に必死になったことがなかった。…自分の意見を発言することも許されなかった」
【……】
晶「行動する勇気がない。誰かの為に立ち上がろうとも思えない。立ちがある理由がない。だって世界が嫌いで嫌いで大嫌いで失望してもう諦めたから」
オーエン「……」
晶「でも貴女は嫌いなこの世界を生きやすいように変えようとした。同じ志の仲間達と共に」
【……うるさい、どの道世界は真っ黒だ。どうにも変わりはしなかった】
晶「世界は眩しいよ。眩しすぎて目が開けられなくなるほどには。だから私は目を瞑ってるから1人なんだよ。そしてうるさいんだ、鼓膜が耐えられないほど、だから私は耳を塞いだ永遠に」
【何が言いたい】
晶「……」
私は目を瞑り少し考えて魔女を見つめる。
晶「この世界に留まる必要なんてない」
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作者名:荒城の月 | 作成日時:2021年2月17日 19時