この手の隙間からこぼれ落ちないように【刀剣乱舞/だきしめて】 (ページ18)

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逾樣國繧ｷページ18

「あるじさま～！」
「あっはっは、いいぞ、触ってよし。」
「、主！」
「あ、たいしょー！」
「ルビーの石言葉って知ってる？」
「じゃあ主、ぎゅーってしてよ、人妻みたいに！」
「、あ、あるじさま。」
「おお！主君、凄いですよ！」
「いっっったあ！？」
「て、手で、えっと…主の手で、撫でて欲しいんだ、けど…え、とぉ…」
「イエーイ主、元気してます！？」
「髪(かみ)の毛が」
「なんですか？主さん！呼びました？」
「い、いや、やはりこれは…」
「で、何かな？主。」
「朽(く)ちて行くのをね、止めることは出来ないんだよ、主。」
「黎明(れいめい)が待ち遠しい季節になってきたな」

刀剣男士は、主と仰ぐ審神者よりも遥かに長く生きる。逆に言えば、刀であり、神である彼らにとって主とは、人間とは、儚く、一瞬の命なのだ。

嗚呼、我らの主が朽ちる事なく、我らと永遠(とわ)に共にいられたらどれだけ良い事か！

人の子の生はあまりにも短い。短いからこそ美しい。だが、いくら美しかろうとも、人は直ぐに死んでしまうのだ。そして、なくなったものはもう戻らない。それこそが世界の掟。いくら泣こうが、嘆こうが、それに変わりはない。

ならば、いなくなってしまう前にこの手に収めてしまえばいい。幸い、我らにはその術(すべ)があるのだから。

嗚呼、主、置いていかないでくれ！

主の名前が分かれば、なんて。

もう既に聞いた(・・・)。

ねえ、A。一緒に、いてくれるよね？

そばで笑っていてくれればいい。それだけでいいから、どうか、儚くなってしまわないで。