三日月宗近 ページ2
「あっはっは、いいぞ、触ってよし。」
三日月おじいちゃんがいつも言っている台詞だが、今日はジェスチャー付きで迫られた。両手を広げて、まさに準備OK、みたいな構えだ。
えっ。これは…あれか?飛び込んでもいい奴か?
正直に言うならめちゃくちゃ抱きつきに行きたい。ぎゅってしたい。
間違えてたらどうにか誤魔化そうと決めて、少し離れた位置にいる三日月に向かってダイブした。
三日月は、危なげなく私を抱き止めて、ぎゅうっと腕に力を込めた。
はわわ、なんかいい匂いがする。私は詳しくないのでよくわからないが、落ち着いた柔らかい匂いがする。こうやってダイレクトに人の暖かさと匂いを感じられるのがいいんだよね。
三日月の、私の背中に回った手が暖かくて、包み込まれている感覚に安心する。
「愛いなあ、主は、……嗚呼、ずっと俺たちのそばで笑っていてくれ。百年と言わず、二百年も、千年も生きてくれ。別れは、………、」
寂しそうに言葉を紡いでいた三日月だったが、言葉につまったらしい。ぎゅ、と私を抱きしめる力を強くして、私の首もとに頭をぐりぐりと擦り付けた。
「はは、いや、なんでもない。すまんなぁ、主。」
すると、すぐさま体を離して、わざとらしいほど明るく言った。
私は、三日月を捕まえて、またぎゅっと抱きしめた。大丈夫だよ、と意味を込めて。
私が死ぬ時は、みんな連れていくよ。身勝手な主で大変申し訳ないけど、私は私の刀が他の人の下にいくなんて嫌だから。
三日月は、少し震える手で、また私を抱きしめた。
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作者名:紺碧 | 作成日時:2023年2月20日 9時