【wrwrd!】狐と我々【男主】【軍パロ】 (ページ24)

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二人同時に動き出す。

最初に仕掛けたのは俺だった。
右手のナイフをゾムの心臓目掛けて振るが、あっさりかわされる。
次に左手に持ったナイフを腹に向かって振るが、受け止められてしまう。
反撃と言わんばかりに頭や心臓に迫ってくるゾムのナイフを受け流しながらも攻撃を入れていく。

「おい…なんだあれ」

「ゾム様と対等に戦ってるぞ！」

周りがざわついているのが分かった。
いきなり現れた男が幹部最強の男と五分五分だったら、それは驚くに決まっている。
でも、俺は「最強の暗殺者」だ。
一国の幹部を相手するなど、楽勝だ。

一進一退の攻防が続く。
まだお互い無傷のままだ。

『…もうそろそろ』

zm「？」

『…本気で行くぞ』

zm「！…まだ本気じゃなかったてか。…ﾊｯ、おもしれぇ！」

ゾムの攻撃が一段と早くなる。
お前もまだ本気じゃなかったじゃないか。
まあ当然か。
ここからが本番だ。

右目に狂気が宿る。

さっきの何倍も早くナイフを振るう。

zm「カハハハハハハッ！」

『…フハッ、アハハハっ』

二人の口から笑いが洩れる。
やはりこいつは強い。
戦っていてとても楽しい。
でも、強い相手であるからこそ…

『…絶対に勝つ』

zm「…！」

上に跳び、ゾムの視界から一瞬消える。
驚いているゾムの頭上からナイフを振り下ろすが、辛うじて避けられる。
が、着地してからすぐ足を振り上げ、右膝に蹴りを入れる。

バランスを崩して尻餅をついたゾムの後ろに回り込み、首筋にナイフを当てた。

『チェックメイト』

場内が静まる。

ut「…Aの勝ち！」

鬱がそう言う。
すると、何処からか拍手が聞こえてきた。
後ろを見ると、グルッペンが立っていた。
何時から居たのだろう。全く気付かなかった。

gr「ゾムを負かすとは、やはり素晴らしい戦闘力だ！」

『…それはどうも』

gr「…A、君はうちの軍に入るべきだ」

『…前も言っただろう。断る』

そう答えながら立ち上がる。

『…俺は軍なんて興味ない。仲間なんて…いらない』

gr「ならば、何故悲しい顔をする？」

『…は？』

gr「本当に独りがいいなら、そんな悲しそうな顔はしないだろ？」

『…。』

悲しい顔などしていない。
俺は…独りでいたいからそう言っているだけだ。

『…行こう、ゾム』

zm「…おん」

グルッペンの視線が痛くて、いつの間にか横に立っていたゾムにそう言い、訓練所を後にした。

ゾムが悲しそうな顔で俺を見ているのには知らないフリをして。