【ヒロアカ】白を愛し、赤と (ページ8)

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入院生活も数日が経過。
夏休みは忙しかったはずなのに、突然の暇にAは逆に落ち着かずにいた。

『お姉ちゃん』

「なぁに？焦凍なら寮に荷物置いてから来るって言ってたよ」

『いや…何で夏兄もお姉ちゃんも焦凍のことばっかり先に言うの』

「だってA、焦凍のこと大好きでしょ？」

『んん、そりゃあ焦凍のことは好きだけど、お姉ちゃんのことだって好きだもん』

目が覚めた次の日は、雄英の先生や警察などたくさんの人が出入りして、根掘り葉掘り聞かれた。
翌日からは特にすることはなかったが、メンタルケアを含めて入院が長引くと言われた。

少し寂しいけれど仕方ないか、とAは思った。
が、その日からずっと面会時間中はずっと誰かがいたのだ。
そして今日は冬美が、ほとんど一日中側にいる。

『お姉ちゃん、お仕事あるならそっち行っていいんだよ？』

「今日は休みだから大丈夫」

『休み…？ホント……？』

夏休みといえど、冬美は小学校教諭。
仕事がないわけはない。
Aとてそれを理解していたから、夏雄と焦凍に代わって側にいてくれる冬美に申し訳なさを感じていた。

彼女ももう子供ではない。
1人でも何の問題もなかった。
加えて冬美が過去のことに負い目を感じているからではないだろうか、と思わなくもなかった。

明日になれば退院して、一旦家に帰ってから寮に向かう。
焦凍が迎えに来てくれるが、そう出来るほど回復しているのだ。

でもまあ、冬美が話し相手になってくれるから正直嬉しかったのだけれど。

「焦凍と夏とは何話したの？」

『夏兄とはね、学校の話した。あと彼女』

「焦凍は？」

『焦凍とは2人でぼうっとしてる』

「…そんなでいいの？」

『それが1番安心するの』

夏雄は色々なことをたくさん話してくれるから、楽しく過ごせた。
冬美はどんな話でもずっと聞いてくれるから、穏やかな時間になった。
焦凍はただ側にいてくれるだけで、何よりも安心できた。

彼とは一心同体のような感じがして、話さなくたってわかっている気になれたのだ。
まあ実際片割れであるのだし。

『お姉ちゃんはさ、寮制にするの賛成だった？』

溢れた質問。
冬美はそれを聞いて、視線をAに向けた。

「そりゃあ最初は悩んだけど、同じ事があったら私じゃAのこと守れないから」

『うーん…私は寂しいよ』

「意地悪しないの！私だって寂しいんだから！」

冬美が優しく怒るから、Aはいたずらに笑っていた。