79:個性 ページ29
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衝撃音。
効いているかは別として、音だけは凄かった。
『すごいねぇ。見やがれ！って感じ』
「人様に躊躇なく攻撃するたァ…だいぶキてんな！」
「ヒーロー志望相手なら何してもかまわねえと思ってそうだ」
「俺はもう講習とか抜きに、この子たちと仲良くなりたい」
爆破、氷、炎、風。
それぞれが、己の個性で子供たちの攻撃を防ぐ。
彼らは当たり前のように無傷で、余裕だった。
それを見た少年少女は焦りの色を見せる。
「ちょっと早く生まれただけのくせに…っ」
「みんな見せてやろう、僕らの力を！ もっと」
「私が行くわ！！」
前へ出た少女。
彼女は最初から、ケミィを敵対視していた。
が、彼女に対応したのもケミィ。
Aは驚くことになるのだけど。
「オイオイ、君の可愛い顔が見てぇんだ。シワが寄ってちゃ台無しだぜ」
「はぁい」
「ごめーん、マボロシー。でも言われて見たいよねぇ」
ケミィの個性、幻惑。
それで作り出された幻は焦凍とまるっきり同じ姿をしていた。
ただ、彼はそんなこと言わないだろうけど。
「どー？ 似てた？」
『あはは、見た目だけですよ、中身は全然』
「ウソ？ マジ残念」
「俺は良いと思うぜ！！ マボロキ君よォ！」
「そんなに面白え事言ってたか？」
爆豪とA、笑いが止まらない。
何せ、よく見た外見から絶対に言わない言葉が飛び出してきたのだ。
似すぎているから尚更、面白い。
「いーからさっき話したヤツ行くっスよ！」
「A、行けるか？」
『大丈夫だよ、やろう！』
イナサの風が子供たちを救い上げる。
宙を舞った彼らは、少しだけおどおどとしていた。
「君たちは確かにすごいっス！でもね！ブン回すだけじゃまだまだっス！！」
「館内ってちょっとないよねー、味気」
「行くっすよォ！」
イナサの合図と共に、焦凍が右手を振り上げる。
そこには巨大な滑り台が生み出され、天井にはケミィより星空が映し出される。
イナサによって下された子供たちはスルスルとそれを下っていく。
「A。そっち頼むぞ」
『うん、焦凍。任せて』
降りてくる少年が近づいてきている。
Aは輪を作った右手を、自分の口元に持っていった。
ふぅ、と彼女が息を吹く。
すると滑る先に、炎の輪が生み出された。
『ふふ、新技』
「すげぇな」
『焦凍もね。でもありがとう』
相変わらずお互いを褒めちぎる双子だけれど。
楽しむ子供達に、2人は笑っていた。
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年3月28日 2時
