【ヒロアカ】白を愛し、赤と (ページ26)

今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:49,772 hit

76:講習ページ26

.

着替えを終えて合流する。
イナサと焦凍がずっと話しているせいか、爆豪の機嫌は先ほどまでよりも悪くなっている気がした。

「Aの好きなものは？」

『食べ物？私は何でも食べるよ』

「Aは巻き込まなくてもいいだろ」

どうやらイナサ、焦凍と仲良くなるために、好きな食べ物を聞いたらしい。

だがどうにも、まったく好みが合わなかったのだろう。
だから妹のAにも同じ質問をしたのかも知れない。

「強いて言えばっスよ！」

『うーん……おそばかな、冷たいの』

「カーーやっぱあんたら双子だな！！」

「双子だからな」

もはや茶番にも思える会話を経て、講習会場へ足を入れる。

ケミィが加わって11名。
ヒーロー公安委員会の目良の挨拶から、講習が始まった。

「焦凍ォオオオ！！」

『わっ』

「おまえはこんなところで躓くような人間じゃない！」

なんとなく、予想はしていた。
Aは父が黙って見ているはずはないと、最初から思っていたのだ。

だが彼の声とほぼ同時に、焦凍が耳を塞ぐから、彼女は少し驚いたのだ。
まあ耳を塞がれたところで聞こえなくなるような声量ではないのだけど。

エンデヴァーとオールマイトが見ている。
それに大きな盛り上がりを見せ、一旦落ち着かせる。

ケミィの紹介を経て、事は次へと進められた。

「さて…それじゃ、お願いします。ギャングオルカ」

「今日も懲りずに揃ったか、落伍者共め」

いつものことだが、言われようが酷いなとAは思う。

だけど試験にふるい落とされたのは事実。
間違った事は言われていないなと、呑気に考えていた。

気が抜けているのを見抜かれたのか、焦凍、爆豪、イナサと共に放り投げられる。
戦闘力を認められた上で、欠けているものは心だと、ギャングオルカは告げた。

『こころ……？』

抽象的な単語に、Aは頭をひねる。

心が欠けている。
それは単に力が足りないと言われるよりも、何倍も難しい。

「死闘を経て、彼らと、心を通わせてみせよ！！」

それが貴様らへの試練だ！！、と力強く言われ、身構える。

死闘。
不穏な単語に嫌でも身体に力が入った。

バンッ、と扉が開いて流れ込んでくる。
子供、が。

「ひーろー！！」

「ナマー！ナマヒーロー！！」

ポカン、としたのは何もAだけではない。

焦凍だって爆豪だってイナサだってケミィだって、同じだった。
一体何が起こっているのだろうかとまで、思う。