75:友人 ページ25
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「おーい雄英！！」
『あ、イナサくんおはよう』
「おはよう、A！」
会場に着き、イナサとAが挨拶を交わす。
彼女は話しながら父親が彼とも会わなければ良いなと思っていた。
もちろん焦凍も同じことを思っていた。
「あー何なに、ちょーいい男とキレイな子じゃん」
コツコツと距離が縮まる女性に、3人が目を向ける。
視界に入った士傑高校の制服。
知り合いでは、なかった。
「ヤバ驚嘆〜〜美形と講習とかマジ恐悦」
『ヤバ驚嘆……？』
「夜嵐なにー、超知り合いー？マジ連絡先ー」
「ケミィさん、交流術さすがっス！ 勉強になりマス！！」
今まで関わったことのない人種にAが戸惑う。
何より彼女にとってはケミィの言っていることを理解するのに少し時間がかかる。
即座に携帯を取り出して連絡先を交換した焦凍とは大違いだった。
何故彼がケミィにすぐさま適応できたのかはAもよくわからないけど。
「どうかしたか？」
『ううん、何でもない。ただ、綺麗な人だなって思ったの』
学校にいる女の子たちとは違うし、これまで出会ったことのある女の子ともケミィは違っていた。
何というか、ギャルというのか、どうなのか。
だがAは彼女を見て単純に、綺麗な人という感想を持ったのだ。
言動はさて置いて。
「えーなにー、私のことそれー？ マジ歓喜、ケミィって呼んでー」
『ケミィさん、よろしくお願いします。私は轟Aです』
「Aちゃんね、よろぴー」
若干の温度差というか、かみ合いが悪いというか。
変な感じはするけれど、相性は悪くないらしい。
女子同士というのもあるのかもしれない。
いずれにせよ、全く噛み合っていない爆豪とイナサよりはマシだろう。
「そろそろ着替えねえとまずいか」
『始まるのかぁ今回も』
「緊張してんのか？」
『ちょっとね、父さんも来るらしいから』
他者と交流して気が紛れても、ふとした時に緊張を感じた。
父親との関係も、昔よりは改善しているように思われる。
だがそれでもまだ、変に緊張する部分があった。
何に対するものかは、Aにもわからないけど。
『じゃあ焦凍、後でね』
「ああ、後で」
「Aちゃん行こいこー」
『行きましょう、ケミィさん』
更衣室に向かうAを焦凍が見送る。
学校にも友人はいるけれど、また別の友人と笑い合えている妹に彼は嬉しく思っていた。
その後すぐに、にやけていることを爆豪に指摘されたのだけど。
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年3月28日 2時
