【ヒロアカ】白を愛し、赤と (ページ11)

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バスを降りるように促され、ソワソワとしながら地面に足をつく。
場所は、試験会場、国立多古場競技場。
とうとう本番の日が来たのだ。

緊張もする。
不安にもなる。
相澤の頑張ってこいを受けて、切島が一発声を張った。

「せーのっ、プルス…ウルトラ！」

「ウルトラ！！」

『うわっ！』

切島よりも大きい声。
背後からのそれに、Aは驚きの声を漏らした。

先輩と思わしき人物に叱られ、恐怖を感じるほど大きく謝罪をする。
完全に変人にしか見えないが、彼ら、雄英に匹敵する難関高の士傑高校の生徒である。

「一度言ってみたかったっス！プラスウルトラ！！自分雄英高校大好きってス！！ってああ！Aじゃないか！！！」

『いや…イナサくん、血が……』

「久しぶりだな！！」

『ははは、久しぶりだね』

あまりの勢いにAが引き気味で対応する。

彼の名は、夜嵐イナサ。
2人は推薦試験で出会っていた。

「A、誰だそいつ」

『え……えっと…』

「ああ！その話は良いから！！」

『えっ、ちょっとイナサくん！』

焦凍が彼女の隣に立つと、イナサは離れていった。

本当は説明しようと思った。
だが焦凍も何も聞いて来なかったから話すことができなかった。
嫌な予感がするな、と小さくため息が出る。

そこから別の高校との交流を経て、更衣室に移動する。
コスチュームに着替えた後、説明会に参加した。

受験者数は1540人。
その全員一斉に勝ち抜けの演習をすると言う。

配布された3つのターゲットを体の好きな場所に貼り、携帯する6つのボールを相手に当てる。
3つ当てられれば脱落で、3つ目に当てた人が倒したことを意味する。
2人倒した時点で勝ち抜きとなる。

『ね、焦凍』

「なんだ？」

ターゲットとボールを配布され、会場が展開される。

準備が着々と進んでいく中、Aが焦凍に声をかけた。

『先着100名だったら、知ってる個性の人を潰した方がはやいと思うんだよね』

「……なるほど」

条件を達成した者から勝ち抜けるが、定員は100名。

はやさが求められるこの状況。
手っ取り早く潰せるのは、手の内を知られている人間だろうと彼女は予測する。

『多分、潰しに来るよ。私たちのこと』

「まあ、そうなるか」

意見を交換し終えるとほぼ同時にカウントダウンが聞こえてきた。
皆は学校単位で動くらしいが、2人はその場から離れる。

Aは数度深呼吸をして、開始の合図を聞いたのだった。