俺はなんでこんなヤツを好きになったんだよ！3 (ページ3)

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コホンと一つ担任は咳払いをして、改めて言う。

「南雲、俺は考えた。俺のクラスの生徒の成績がやばいからどうしたら留年させずに済ませるかってな」

「お、おう。なんか名案あるのか？」

担任は頷いた。

俺はゴクッと唾を飲み込む。

もうなんでもいい。俺が留年しなけりゃなんだってやってやるから、とにかく助けてくれ。

そんな気持ちだったから俺は真剣に担任を見る。

その時だった。

ガラガラガラッ…

職員室の扉が開いて誰かが入ってきた。

担任はそのタイミングがわかっていたかのように、そっちを指差す。

んでもって、ニカッと笑う。

「クラス1頭のいい奴に勉強、教えてもらえ」

「へ？」

「失礼します」

聞き覚えのある声に俺は驚いて振り返った。

そこには…

「A！？」

「…はい？」

左腕を白い布で吊るしたAが扉の前で立っていた。

最初俺がいるのに気づかなかったAは俺を見た途端メガネの向こうの表情を曇らせる。

「…なにやってるんですか」

猫かぶりのままだから敬語だったけど、目はいつも通り鋭く俺を睨んでる。

俺はびっくりしながらもそれに応える。

「なにって俺こいつに呼ばれたから…」

「こいつじゃない、ちゃんと先生って呼べ」

担任は俺を睨んでそう言ってからAを見る。

「A、クラスの委員長として頼みがある。この万年最下位の男に勉強教えてやってくれないか？」

「…」

声に出してないけどAは「は？」って顔をした。

でもすぐにそれを消してから首を横に振る。

「遠慮しておきます」

「そう言わずにさ！」

「私は成績そんな良くないんで」

「よく言うぜ！首席で入学してきたくせに！」

「(このクソ担任…余計なこと言いやがって)」

それを聞いて俺はギョッとした。

この女そんな頭良かったのかよ！
(正直そんな風には見えない)

まあ確かに委員長やるぐらいだから成績良いんだろうなって思ってたけど…

Aは表情で隠してるけど明らかに不機嫌になった。

それを察知できない鈍感担任がまた煽るように言う。

「この前の遠足で命を支え合った仲じゃないか。A、南雲を助けてやれや」

「…いやで…」

「お前が俺の悪口言ってんの知ってるんだぞー？」

担任のその一言にAの表情がピクッと動いた。

「(…役に立たないくせに、勘だけは鋭いなこいつ…)」

「おーい、どうすんのー？」

明らかな脅しにAはついにため息を漏らした。

「…わかりました」