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その後、俺の雰囲気を感じ取ったのか両親にいじられたが全て無視した。それからと言うもの、街中に出れば無意識に探してしまう自分がいた。
何て名前なのか、何歳なのか、何処に住んでるのかも聞けなかった。それでも、あの容姿をもう一度見たくて堪らなかった。
背が伸びていくのと共に、体格や声も少しずつ変わっていく。力が付いた分、喧嘩も多くなった。
頭が良かった俺は、名門で有名な椚ヶ丘の受験を受けたら難なく合格。将来を何となく決めていた俺にとって、学歴はあった方がいいものだと思っていたから椚ヶ丘に入学する事にした。
長かった6年間がもうすぐ終わりを告げる、暖かくなってきた3月。女子から呼び出されることが増えた。
「…あの、業くん。私、小1の時から業くんが気になってて…」
「ごめん。俺そういうの興味無いんだよね」
「そ、そっか…!そうだよね、ごめんね。呼び出して」
「こっちこそごめん」
涙を浮かべて立ち去っていく女子。確か学年のマドンナとか言われてたっけ。マドンナとか、美少女とか…そういうのに当てはまるのは夏祭りの時に出会ったあの子だけだと思う。
「どんだけ拗らせてんだよ」
年月と共に忘れていくと思っていたその想いは、寧ろ募っていく一方だった。せめて名前でも聞くべきだったと後悔するには遅すぎた。
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時は巡って、4月。入学式はサボった。めんどくさいし、罰食らっても別にって感じだし。
「おいてめぇ、今ぶつかったろ?それ椚ヶ丘の制服だよなぁ?良いとこの坊ちゃんは大人しく言う事聞」
そいつらが喋ってる途中で、俺はバッグを投げ捨てた。それに気を取られた男に殴り掛かる。数発入れたとこで、その制服が近くの高校の物だと気づいた。
「中坊に寄って集って、恥ずかしくねぇの?」
「このクソガキィ!!」
「何?逆上〜?年下に喧嘩ふっかけておいて恥ずかしくないわけ?」
1人を殴り続けていると、女子の声が聞こえてきた。
『危ないっ!!!』
その声で振り向いた。ナイフを持ったもう1人の男に飛び蹴りを食らわしたのは、もう二度と会えないと思っていた夏祭りのあの子。体が岩のように固まった。
「…え、」
「くっそ、こ、この辺にしといてやるよ!!」
「覚えとけよォ!!!」
男達に目もくれず、ただその子を見つめていた。去っていった男達を見届けた彼女と視線が絡む。やっぱりあの子だ。間違えるはずがなかった。
ってか、同い年か歳上だった訳?童顔すぎるでしょ。
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ゆあ(プロフ) - EOniさん» コメントありがとうございます!コナン編作成まで暫くお待ちください! (4月23日 23時) (レス) id: e604285060 (このIDを非表示/違反報告)
EOni(プロフ) - 凄い気になる最後でした!暗殺教室編お疲れ様です。コナン編も頑張って下さい! (4月23日 7時) (レス) @page50 id: 935574fa3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆあ | 作成日時:2023年7月14日 9時