#１５６ ページ10
そう言いながら、自分の首についている首輪を外したイリーナ。ｷｨｰｯと悔しそうに殺せんせーはハンカチを噛んでいた。
「…ビッチ先生」
「あの野郎が俺等ごと殺すって知ってたのかよ」
「何でよ…、仲間だと思ってたのに…」
「…………」
「怖くなったんでしょ、プロだプロだ言ってたアンタがゆる〜い学校生活で殺し屋の感覚忘れかけてて、俺等殺してアピールしたいんだよ。「私冷酷な殺し屋よ〜」って」
外していた首輪をｶﾞｼｬｯと檻に投げた。
「私の何が分かるのよ!!考えた事無かったのよ!!自分がこんなフツーの世界で過ごせるなんて!!弟や妹みたいな子と楽しくしたり、恋愛の事で悩んだり…そんなの違う。
私の世界はそんな眩しい世界じゃない」
『皆は世界一の殺し屋がイリーナを攫ったって知っても危険を承知で乗り込んできてくれたんだよ!!それは教師としてでも殺し屋としてじゃないイリーナの事を人間として好いてるから出来た行動でしょ!?
ずっと同じ世界にいてもつまらないでしょ!!世界は自分で変えていくのよ!!私達の世界にはイリーナが必要なのよ!!なんでそれが分からないの!!』
久しぶりにこんなに叫んだからか、咳が出る。体力も落ちて立っていられずにそのまま私はしゃがみこんだ。
「……ッ、A」
「そうだよ、ビッチ先生!!」
「全部許すから、戻ってきてよ!!」
「…………」
もう少し、何か…言わないとそう思っているとイリーナの顔がﾊｯとした。
「……分かったわ」
胸元から銃を取り出して、ﾀﾀﾀｯと扉から出ていったイリーナ。
『…けほ、ごほっ…ッ』
「Aちゃん」
陽菜乃ちゃんが背中を摩ってくれた。殺せんせーが私の頭に触手を置く。
「見事でしたよ、Aさん。倉橋さん、矢田さん」
『平気かな、ぁ…。イリーナ…』
「ええ、恐らく。あとは烏間先生に任せましょう。
しかし、さすがは歴戦の殺し屋です。「味方だと思ってた人が敵だった」それは先生の苦手とする環境の急激な変化ですが、彼女の演技はその変化を一切私に悟らせなかった。
死神はもちろん…、イリーナ先生も素晴らしく強い。まだ君達が実力で勝てる相手ではない」
殺せんせーは、モニターに注目した。
「死神が設置した監視モニターですが、断片的ですが…強者対強者の戦いが覗けそうです」
右上のモニターに烏間さんが映る。ドアノブを少しだけ動かして止まった。だがすぐさまドアを開けた。爆発した中から烏間さんが出てきた。
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作者名：ゆあ | 作成日時：2023年10月30日 18時
