#１９３ ページ50
「テスト前日に、あなたの昔の教師像や父親としての姿…起こった事も全て聞きました」
「……!!」
殺せんせーの言葉に、理事長は再び目を丸くした。
「私の求めた教育は10数年前のあなたの教育とそっくりでした。私があなたと比べて恵まれてたのは…、このE組があった事です。
纏まった人数が揃っているから、同じ境遇を共有しているから校内いじめに団結して耐えられる。1人で溜め込まずに相談できる。
そして理事長、このE組を創り出したのは…他でもないあなたですよ。結局あなたは昔描いた理想の教育を無意識に続けていたんです」
殺せんせーは、狭間の持っていた対先生ナイフを取ってびよよんと刃の先を左右に振った。
「
殺すのではなく生かす教育。
これからも…、お互いの理想の教育を貫きましょう」
殺せんせーが持つナイフを、理事長は人差し指と中指で挟むように受けとった。
「…私の教育は常に正しい。この10年余りで強い生徒を数多く輩出してきた。ですが。あなたも今、私のシステムを認めたことですし恩情をもってこのE組は存続させることにします」
「ヌルフフフ、相変わらず素直に負けを認めませんねぇ。それもまた教師という生き物ですが」
「それと、たまには私も殺りに来ていいですかね。
「もちろんです、好敵手にはナイフが似合う」
にっこり笑い合う2人に生徒も烏間達も安堵の表情を浮かべた。その刹那＿＿＿。
「…殺せんせー、「全て聞いた」と言っていましたがそれは…」
「ええ。ご
「そうか…。憶えているよな、あの子なら…」
理事長は、天を仰いだ。その姿に生徒達は首を傾げる。殺せんせーはいつにも増して、真剣な顔付きで問いかけた。
「…Aさんは……」
「えぇ。殺せんせーの考え通りですよ…。
娘は「フォトグラフィックメモリー」を持っています」
「「「ふぉ…フォトグラフィックメモリー？？？」」」
アニメや漫画に詳しい竹林や不破が目を輝かせた。
「…それって、」
「アニメとかでよく見るやつ!?」
寺坂が改めて聞いた。
「…なんだよ、そのフォトグラフィックメモリーって…」
「「瞬間記憶能力」と言った方が分かりやすいかな。Aは、1度見たものは忘れないんだ」
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作者名：ゆあ | 作成日時：2023年10月30日 18時
