椚ヶ丘高校の生徒会長 4【暗殺教室】 (ページ40)

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「浅野は、理事長の事をたまにですが「父さん」て呼びますよね。でも、A先輩が理事長を「お父さん」と呼んだところを見た事がないなって…それは…」

『……うん。私のお父さんは、あの時の優しい目をしたお父さんだから。今のあの人をお父さんと呼ぶのは難しいかなぁ。

その頃、既に物心ついていた私よりも、どちらかと言えば理事長はまだ生まれて数ヶ月の学秀への教育に念を入れていた。

理事長の「教育の理想」の体現することへのプレッシャーを受け続けなければならなくなってしまった。

だからこそ、私は中学と高校で生徒会長になった。そうすれば理事長も私にプレッシャーを与えるようになる。

模試で1位を取ったのも
生徒会長の仕事をこなしたのも

少しでも学秀の方の荷が下りれば…と思ったんだけども、まぁその結果がこれじゃあ意味無いよね、

ほんと…酷い姉だと思う』

自嘲するように笑うと、目の前の殺せんせーの顔が紫色になった。

「それは違いますよ、Aさん。あなたは良いお姉さんです。

浅野くんに聞いてみてください、きっと「そんな事ない」と言うはずです」

『…そうですかね…』

「ええ。浅野くんが壊れずにここまで成長出来たのは、Aさんが何よりも大きいと思いますよ」

その言葉に私は、目を丸くする。

「「いい点数とったら、毎回毎回撫でてる」と、褒めてると言っていましたね。その逆で、悪い点数を取っても浅野くんの事をきちんと認めていたのでしょう」

『…ええ。それはもちろん。
でも、どうして…』

「Aさんの人柄からそれを想像するのは、難しくないですよ。理事長が浅野くんにあげた刃はあまりにも脆すぎる。その刃だけを持っていたら、おそらく浅野くんは途中で壊れてしまっていたかもしれません。

それを阻止したのが、Aさんが浅野くんにあげた刃です。この教室にそっていうならば、第2の刃でしょうかねぇ」

『…第2の、刃…？』

「先日、浅野くんがE組(皆さん)に頭を下げて頼んだそうです。「時として敗北は人の目を覚まさせる、正しい敗北を僕の父親と仲間に。」…と」

『…学秀が、そんな事してたんですか……』

驚いた。

学秀はプライドが高く、下に見た人には絶対に頭を下げない。姉としては可愛いが友達だとしたら確実に嫌なタイプだ。

『意外…ですね、学秀が人に頭を下げるなんて…。ましてや、誰かのために…なんて』

「ええ。私も聞いた時は驚きましたよ」