#１７９ ページ36
「簡単な話だ。次の期末で
「…」
学秀の意図が分からず、寺坂が怪訝そうな顔をして最もなことを問いかけた。
「……どー言う事よ、なんでA組の頭のお前が」
「浅野くん。君やAちゃんと理事長の乾いた関係はよく耳にする。
ひょっとしてお父さんのやり方を否定して、振り向いて欲しいの？」
片岡の言葉を、学秀が強く否定する。
「勘違いするな。「父親だろうが蹴落とせる強者であれ」そう教わってきたし、そうなるよう実践してきた。…人がどうであれ、それが僕等親子の形だ」
「………」
「…だが、僕や姉さん以外の凡人はそうじゃない。今のA組は、まるで地獄だ。E組への憎悪を唯一の支えに限界を超えて勉強させる。もしあれで勝ったなら、彼等はこの先その方法しか信じなくなる」
自分の手を見ながら、学秀は言葉を続けた。
「敵を憎み、蔑み、陥れる事で手にする強さは限界がある。君達程度の敵にすら手こずる程だ。
＿＿＿時として敗北は、人の目を覚まさせる。
＿＿＿だからどうか正しい敗北を僕の仲間と父親に…」
そう言って学秀は、E組の生徒に向けて頭を下げた。
「(あえて傲慢な本心を隠さないのは、本心で話している事を示してるんだ。プライドの塊の浅野くんが、僕らに頭を下げて今、本気で…他人の事を気遣っている)」
「…え。他人の心配してる場合？1位取るの君じゃなくて俺なんだけど」
そんなシリアスな雰囲気をぶち壊したのは業。舌を出しながら、学秀にそう言った。
「「「「…………」」」」
「言ったじゃん、次はE組全員容赦しないって。1位は俺でその下もE組。浅野クンは10番あたりがいい所だね」
学秀は、頭を上げて業を見た。
「(…姉さんはなんでこんな奴を好いているんだ？)」
「おお〜？業がついに1位宣言」
「1学期期末と同じ結果はごめんだけどね」
「今度は俺にも負けんじゃねーのか、えぇ!?」
竹林と寺坂の煽りに、業が顔を赤くして俯いた。寺坂の腹を膝蹴りする業。学秀に磯貝が話しかける。
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作者名：ゆあ | 作成日時：2023年10月30日 18時
