#１７８ ページ35
恐ろしいスピードで進んでいく授業に、A組の何人かは震えていた。
「(いつもの授業の10倍は分かりやすいけど…)」
「(20倍早い!!)」
ﾋﾟﾀｯと文字を書く手が止まった。
「橋爪くん、田中くん、藤井さん、近藤さん、奥野さん。
理解が遅れているようだね」
「「(な……)」」
「「(なんで後ろ向きでわかるのよ!!)」」
「そ、そうは言っても速すぎて！五英傑レベルならまだしも僕等にゃ、無理です！！」
ニコッと笑った理事長は、田中の肩を叩いた。
「無理だと思うのは、戦う意義を理解してないからだ。3分間だけ廊下で話そうか、ちょっとした雑談をね」
ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞと黒い靄がかかったように、呼ばれた5人が廊下から戻ってきた
「「「「「E組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺す」」」」」
「君達の勉強は君達のためならず、力を伸ばしたE組をそれ以上に力を伸ばして叩きのめす。後輩達はね、君達のそういう姿を見て
君達の働きが人類のレベルを押し上げるんだ。この4人は為すべきことをいち早く理解してくれているよ。
あぁ、あと浅野くん。君は帰って自習でいい。
君の実力なら、油断しなければトップは取れる。皆を上へ導くのは私がやっておくから」
「………」
.
.
.
E組の全員が、歩いて帰っていると不破が口を開いた。
「理事長と殺せんせーってなんか似てるよね」
「どこが？」
「2人とも異常な力持ってるのに普通に先生やってるとこ。理事長なんてあれだけの才能があれば総理でも財界のボスでも狙えただろうに、たった1つの学園の教育に専念してる。そりゃ、手強くて当然だよ」
「…Aちゃんなら、なんか知ってんのかな？」
「どうなんだろうね？」
茅野が何かに気づいて、声を上げた。
「あれ…？浅野くんだ」
「…なんか用かよ」
「偵察に来るタマじゃないだろうに…」
「………」
磯貝と前原がそう言って声をかける。
学秀の拳は強く握られていて震えていた。
浮かない顔をし、眉を寄せていた。
「…こんな事は言いたくないが、君達に依頼がある」
「………？」
「単刀直入に言う。
もちろん、物理的に殺して欲しいわけじゃない。殺して欲しいのはあいつの教育方針だ」
「教育方針を…どうやって？」
矢田が学秀にそう聞いた。振り向いた学秀が答える。
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作者名：ゆあ | 作成日時：2023年10月30日 18時
