#１７５ ページ32
「相手は飲食店だ。悪い噂を広めるのは簡単だし、食中毒なら命取りに出来る。君達は、害する努力を怠ったんだ」
「(…マジか)」
「(害って…E組の飯に毒でも入れろと!!?)」
「………」
『…そのやり方を実行した場合、私達本校舎の飲食店にも影響が出る可能性があります。例え山の上でも外部の人間から見れば同じ学校の敷地内、食中毒等のウィルスならば尚更の事かと』
「理事長先生あなたの教育は矛盾している。どうやったかは知らないが、E組はこの1年で飛躍的に力を伸ばした。僕等選ばれたA組と張り合うまでに。癪だが僕自身も能力の伸びを感じます、奴等が刺激になっている事は否定できない。
強敵や手し……、いや。仲間との縁に恵まれてこそ強くなれた」
「今お前手下って言いかけたろ」
その場の生徒達の思った事を代表して瀬尾くんが言ってくれた。
「弱い相手に勝ったところで強者にはなれない。それが僕達の結論であり、それはあなたの教える道とは違う」
学秀の言葉に、理事長はにっこり笑った。その顔を見て眉を顰めた。
「…浅野くんに浅野さん、3分程席を外してくれないか。友達の4人と話がしたい。なに、ちょっとした雑談さ」
「『……？』」
その言葉に私達は顔を見合せた。榊原くんが私達に話しかける。
「出ていろ、2人共。3分くらい別にいいよ」
「…分かった。姉さん、出るぞ」
『う、ん…分かった』
.
.
.
『…何の話かな』
「分からない。何も聞こえないしな」
『…うーん……』
3分で何が出来る…？あの人の事だから何か…雑談……？
脳裏を過る、おぞましい記憶。
＿＿「それでしか生きる喜びを感じないよう、
『……(ま、さか…)』
ｶﾞﾁｬｯ…とドアが開いて、榊原くん達が出てきた。
「蓮！瀬尾…」
『…ッ、そんな。荒木くん！小山くん!!』
「「「「E組殺すE組殺すE組殺すE組殺す」」」」
真っ黒なモヤがかかったように、完全に
「な…ッ、何を……」
「ちょっと憎悪を煽ってあげただけだよ。君達の言う「縁」なんて二言三言囁くだけで崩壊する。私が教える「強さ」とは…、そんな脆いものではない。圧勝出来ない浅野くんの強さなど、もはや誰も信じないよ。
私が出るしかないようだね。期末テストは私が全て執り仕切る。強くなければ何の意味も価値もない、それを一から教えてあげよう」
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作者名：ゆあ | 作成日時：2023年10月30日 18時
