#１６９ ページ23
「密着度が上がりどちらがどちらの唇かも分からなくなってきたころ、一体感を崩さぬようそっと下を忍ばせるのです」
『…え、イリーナ渚くんにどういう教育してるの!?』
「あら、渚だけじゃないわ。このクラスみんなよ」
『やば………』
「問題外だ」
「訴えられっぞ、こんな痴��女担任」
このクラスみんなやられてるの？え？どういう…？と話が逸れすぎたところで、凛香ちゃんがご最もなことを言った。
「というか
「……そっか」
「ヌルフフフ。むしろ簡単です。私が烏間先生に化ければいいんでしょう？」
『お〜！殺せんせー天才!!』
と私が言うと皆の顔が渋くなった。
「いつものクオリティ低い変装じゃあ、誤魔化せねぇぞ」
「すれ違うくらいならまだしも、面と向かってじっくり話すからね〜〜」
「心配無用!!今回は完璧です!!」
ｶﾞﾗﾗｯと扉が開いて烏間さんに扮した殺せんせーが入ってくる。
「おうワイや、烏間や」
「「「(再現度低っ!!)」」」
『殺せんせー、この半年間一体何を見てきたんですか？』
「にゅやあああ!?!?!?!?」
「い、いやでも眉間のシワとかそっくりやろ」
「その前に口!!鼻!!耳も!!」
「なんで腕がソーセージみてーになってんだよ!!」
「烏間先生のガチガチ筋肉を再現したんや」
「無駄なとこばっか凝るな!!」
『烏間さん、そもそも関西弁なんて使わないですし…』
「ほんとだよ。というかいままでギャグのノリで誤魔化してたけど、真面目に人間に似せるって難しいね」
口のクレームからサイズ、口や耳、鼻のクレームまで全てが烏間先生に似ていなかった殺せんせー。
なんとか人間ぽく仕上がる頃にはもう渚くんのお母様が校舎から見えている頃だった。
「あの人が渚の母さんか」
「けっこー、美人だな。けど確かにキツそうだ」
渚くん達が教員室に入り、私達は外へ移動する。
『…ん？』
ついている足跡。私のローファーでもみんなの靴でもない。
なんだろう、これ…。
「この足跡、誰のだろうね」
『うーん…？』
「この子ねぇ、女でさえあれば私の理想にできたのに…」
髪の毛を結んでいたゴムをﾋﾞｯと千切り、お母様は話し始めた。
「……あなたの理想？」
「ええ、この位の歳の女の子だったら長髪が一番似合うんですよ」
『…………』
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作者名：ゆあ | 作成日時：2023年10月30日 18時
