#１６５ ページ19
「(言われなくても承知の上だ、こいつが
ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｯ…と天井部が開いた。
「Aちゃん、俺が連れてくよ。おぶってあげる」
『え…っ、それはちょっと申し訳ない…』
「いいって」
『お邪魔します……』
業くんの言葉に甘えて、おんぶしてもらった。
殺せんせーが何か騒いでるけどスルーしよう。なんて言うか、業くんて男の子なんだなぁ…。
背中大きいし…、1歩1歩大きいし…と考えているとﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯ…と心臓の鼓動を感じた。
『…(業くんに、また守られちゃったなぁ…)』
檻の中にいる時、ずっとそばに居てくれた。
そのおかげで私は安心できた。
『(業くんは優しいから、他の子にも…他の女の子にもこういうことするのかな…)』
ぽわんぽわん…と頭の中にその描写が浮かび上がってきた。
その時、ｷｭｳ…と胸を締め付けられるような感覚になった。
この優しさを知ってるのは私だけでいいのに…なんて一瞬思ってしまった。
『(…これは、一体…？)』
この数日間まともに寝ていなかったからか、ゆらりゆらりと揺れる感覚に睡魔が襲ってきた＿＿＿。
.
.
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目を覚ますと車の中だった。あっという間に家に着いてチャイムを押す。ﾊﾞｯｯと勢いよくドアが開いて学秀とお母さんが出てきた。
「「A!!!!」」
『た、ただいま？』
「お馬鹿！ほんとに…っ、無事でよかった!!」
泣き崩れるお母さんと、目の下にすごい隈を作っている学秀。
「詳しい話を…」
と烏間さんが理事長を門の外へ連れて行った。
おそらく事の説明をするのだろう。
「わかりました」
「早く、入りなさい。怖かったでしょう」
『でも警察の人優しかったし…』
「殺し屋に攫われました」と言う訳にはもちろんいかず、監��禁事件に遭ったという話でまとまった。警察の方に行方不明者届けも出されていたらしいけど、そこら辺は防衛省が何とかしてくれるらしい。
「無事で良かった」
『学秀、そんな酷い隈作って…あんまり寝れなかったの？』
「当たり前だろ!!僕がこの数日間一体どんな気持ちでいたと…ッ」
『可愛いね〜、学秀。私ったら愛されてる!!』
「…はぁ。監��禁されたのに呑気なものだ」
「うどんとか食べやすいもの作るから、お風呂入ってきなさい。満足に入れてないのでしょう？」
『う、そうだね…。入ってくるよ』
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作者名：ゆあ | 作成日時：2023年10月30日 18時
